研究課題/領域番号 |
16K16345
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館 |
研究代表者 |
水谷 亜希 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部教育室, 研究員 (20565296)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文化財 / ハンズ・オン / 対話 / 鑑賞 / ボランティア / 美術 |
研究実績の概要 |
本研究では、対話とハンズ・オン教材を組み合わせた博物館教育の実践と研究を行う。具体的には、京都国立博物館において2014年9月にスタートした「ミュージアム・カート」という教育普及活動を考察の対象とする。 ミュージアム・カートでは、ボランティア・スタッフである「京博ナビゲーター」が、展示作品に関連するハンズ・オン教材を用いて来館者と対話を行っている。本研究は、ミュージアム・カートにおいて、来館者の主体的な興味・関心を引き出すためには、どのような手法や教材が最も有用かを検討、実践し、最終的にはその成果を普遍化して他の教育普及活動にも応用できるようにすることを目的とする。 初年度は既存のハンズ・オン教材をもちいた活動について、現状調査と課題の把握を行い、その結果をふまえ、教材・実践方法の改善を行った。さらに特別展覧会の期間中に増大する来館者に対応するため、ミュージアム・カートの活動を発展させたワークショップ2つの開発・実践を行い、それらの実施前にはナビゲーターに向けて研修を行った。 本研究では、これまで主に科学系や自然史系、歴史・民俗系の博物館において実践されてきた「ハンズ・オン」の手法と、近現代美術を扱う美術館で実践されてきた「対話」の手法を組み合わせ、古美術を中心とした文化財を扱う博物館で実践する。これまでのハンズ・オン展示は、無人での運用を前提としたものが多く、耐久性や盗難防止の点から、できることに限りがあった。また博物館でのボランティア活動は、従来は解説型が多く一方的な話しかけになりがちで、来館者の主体的な興味・関心を引き出すことが難しかった。本研究で行う対話とハンズ・オンを組み合わせた取り組みは、それら両方の問題点を解決する糸口となるものである。本研究の成果を公表することで、今後の博物館教育や、博物館でのボランティア運営に新しい方向性を示すことができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である本年は、すでにカートで運用している「考古・彫刻・絵画」の3分野の教材と、その実践方法について現状を調査し、課題を明らかにした。京博ナビゲーターに対しては、活動日ごとに行われる終礼で直接意見を集約し、来館者に対しては、館内で実施しているアンケートから、活動に関する記述を収集した。調査結果に基づき、各教材の改良と今後の課題集約を行うとともに、増加する外国人旅行者に対応するためのツールの追加を行った。その際、ポータルサイトにてナビゲーター自身からもアイデアや情報を募集し、内容に反映した。 当初の計画に加え、特別展覧会の期間中には、来館者の増大に対応するためミュージアム・カートを発展させたワークショップ2つの開発・実践を行い、それらの実施前にはナビゲーターに向けて研修を行った。 このほか、国内で先進的な教育活動を行う博物館等の視察を行い、次年度以降の教材やプログラムの実施、追加、改良に備えて情報を収集した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において、既存の教材・プログラムの課題の把握と、ある程度の改良は達成できた。一方で、特別展覧会期間中の来館者の増大に対応するための、発展的なワークショップの実施や、増加する外国人旅行者への対応など、当初予想していなかった新たな課題が生じた。また研究の2年目は京博ナビゲーターのメンバーの入れ替え時期にもあたるため、これまでに蓄積したノウハウをどのように引き継ぐかも検討する必要がある。 こうした現状をふまえ、次年度以降はいっそう研究協力者やアルバイト・スタッフの協力を得ながら、課題を整理したうえで、ナビゲーターに向けた研修やプログラムの改良を行い、最終年度までに論文等の形にしてその成果を広く社会に発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は海外出張を予定していたが、訪問先と日程の調整がつかず延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外の博物館視察のための費用として使用する予定である。
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