研究課題/領域番号 |
16K16355
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長沢 敬祐 広島大学, 工学研究院, 助教 (50758159)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 在庫管理 |
研究実績の概要 |
今年度においては,本研究は,複数商品の在庫管理において特定の特性をもつ個別商品または複数商品の在庫管理および発注方式の商品グループに対する発注方式のパラメータ設定方法の開発および改善効果の調査に取り組んだ.特に従来の研究で明らかになっていない,輸送容量の考慮・商品の劣化の考慮・商品需要の間欠性の考慮をした最適な発注方式の設計に関する研究を実施し,以下の研究成果を得た. 1.輸送容量の考慮を始めとした複数商品の発注において,同時に発注するべき商品グループの作成・各商品の発注方策のパラメータ設定に加えて,発注時点における在庫量および同じ在庫量においても商品ごとに発注するべき優先度の考慮を行うことにより改善効果があることが明らかとなった. 2. 劣化する商品の在庫管理においては商品の劣化率により商品グループ内において発注方策のパラメータ,特に発注頻度・間隔ひいては発注するべき商品数・量が変化した.商品が全て同一の劣化率で他の商品特性が変わらなくとも,異なる劣化率においては異なる商品グループ作成が最適な発注に必要であることが明らかとなった. 3. 間欠性を持つ需要に対する発注方策として,同一の平均需要量を持つ場合においても商品需要の間欠性が異なる場合,また,在庫管理の評価において在庫および欠品の評価方法が異なる場合,最適な発注方策のパラメータも変化することが明らかとなった 以上成果を総括すると,複数商品の在庫管理において最適な発注を行うためには,将来的に『商品グループの作成』及び『商品グループに対する発注方策とそのパラメータの設定』を商品の特性に加えて商品グループ内の商品特性の関係ひいては商品グループ間の関係性に着目する必要がある.そのため,そのような発展を視野に入れた既存の発注方策の最適パラメータ設定方法の必要性も確認された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は所与の発注方策の最適パラメータ設定が商品グループ内の商品特性によりどのように変化するかの調査をおこない,商品毎の特性および商品の構成により変化しうる複数商品グループの特性に基づく最適発注方策の最適パラメータ設定方法の研究を計画していた.特定の特性を持つ商品に対する最適なパラメータはシミュレーションなどからも求まり,おおむね初年度の目的は達成されている一方で商品特性から特定の商品グループの最適パラメータを計算式・アルゴリズムにより求められるようにするとこまでには至っていないため,全体として「やや遅れている」と判断される.
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は前年度の研究を更に発展させ,他の特性を持つ商品に対する発注方策の最適パラメータの設定方法の研究および既存の商品グループに対する最適発注方策の設定方法および複数商品群の適切な商品グループへのグルーピング方法を考案する.それと同時に初年度に行えなかった,商品特性から特定の商品グループの最適パラメータを計算式の考案も並行して検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在までの達成度で挙げているとおり,当初の予定である商品特性から最適発注パラメータの設定に至らなかったため,使用する予定の機器・ソフトウェアの購入および発表・検討していた論文投稿が未実施となってしまった.そのため研究計画を年度内に完了・発表する段階に進めることができなかった.これらの遅れが次年度使用額の発生につながった
|
次年度使用額の使用計画 |
前述の次年度使用額が生じた部分については,当初の計画をふまえつつ,未達部分に関しては既に計画の完了部分を元に翌年度の計画の遂行と併せて行ない,翌年度補助金と併せて研究成果発表に使用する.
|