今年度においては,本研究は,複数商品の在庫管理において特定の特性をもつ個別商品または複数商品の在庫管理および発注方式の商品グループに対する発注方式のパラメータ設定方法の開発および改善効果の調査に取り組んだ.特に従来の研究で明らかになっていない,商品グループの考慮・販売可能期限のある商品における発注方策の考慮・商品需要の間欠性の考慮をした最適な発注方式の設計に関する研究を実施し,以下の研究成果を得た. 1.複数商品の発注において,同時に発注するべき商品グループの作成・各商品の発注方策のパラメータ設定に加えて,発注時点における在庫量および同じ在庫量においても商品ごとの特性や発注するべき優先度の考慮を行うことにより改善効果があることが明らかとなった. 2.販売可能期限のある商品の在庫管理においては商品の販売可能期限までの長さにより商品グループ内において発注方策のパラメータ,特に発注頻度・間隔・発注するべき商品数・量が変化した.商品全て同一の販売可能期限であっても,商品の需要などにより適用すべき在庫方策が異なる. 3.季節性・間欠性がある商品に対しては従来使用されていた在庫方策とは異なる発注量・時期の計算が重要である.また,それにより発注を同時に行う商品グループ作成はより複雑なものとなることが明らかとなった. 以上成果を総括すると,複数商品の在庫管理において最適な発注を行うためには,将来的に『商品グループの作成』及び『商品グループに対する発注方策とそのパラメータの設定』を商品の特性に加えて商品グループ内の商品特性の関係ひいては商品グループ間の関係性に着目する必要がある.そのため,そのような発展を視野に入れた既存の発注方策の最適パラメータ設定方法の必要性も確認された.
|