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2016 年度 実施状況報告書

次世代資産運用のためのスマートベータ開発とその利用方法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16359
研究機関武蔵大学

研究代表者

山本 零  武蔵大学, 経済学部, 准教授 (40756376)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード資産運用 / ペアトレード / スマートベータ / ポートフォリオ最適化 / 超過共変動 / 中期経営計画 / 信用リスク
研究実績の概要

本研究は、年金資金の運用で投資対象としているTOPIXのような株価指数に代わるより効率的な指数(スマートベータ)を提案し、それを用いた資産運用方法を検討することで年金資金の運用効率向上を目指すものである。
平成28年度は一般的に秘匿性があり、高い運用技術を要求されるオルタナティブ戦略の1つであるペアトレード戦略をスマートベータとして指数化するため2つの研究を行った。1つ目はペアトレード戦略で重要な頑健な相関構造を持つ株式ペアを発見するための株式間の相関構造の研究である。この点に関して、相関構造のアノマリーとして古くから研究されている超過共変動(異常相関)に着目し、その発生要因を特定する研究を行った。本研究の成果はペアトレード戦略のスマートベータを構築する上で、ペア選定に役立つと思われる。この内容は研究論文として学会誌に掲載された。
2つ目は効率的なペアトレード指数を構築する研究である。ペアトレード戦略を指数化するには数多くのペアを組合せるため、リターンやリスク、コストを意識して最適なペアポートフォリオを構築する必要がある。本研究は様々な実務的条件下で最適ペアポートフォリオを構築する手法を提案したものであり、ペアトレード戦略のスマートベータ化には必要不可欠である。この内容は研究論文としてレフリー付きの学会誌に受理された。
また予定以上の研究として、ガバナンスと信用リスクに関するスマートベータ化の研究を行った。ガバナンスについては、企業が公表する中期経営計画に着目し、中期経営計画を公表する企業の特性や株価リターンを調査した。その結果は研究論文としてレフリー付きの学会誌に掲載された。信用リスクに関しては、企業の信用リスクを計測するための手法を検討し、解説記事として学会誌に掲載された。それぞれの企業特性に基づくスマートベータを構築できれば、より年金資金の運用を効率化できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定通り、平成28年度にはペアトレード戦略をスマートベータ化するためのペアポートフォリオを構築する研究を行い、研究論文を完成させてレフリー付き学会誌に受理された。またその内容は国際学会で1回、国内学会で2回の報告を行っている。加えて平成29年度行う予定であった超過共変動の特性を考慮したペア選択についても研究を進めることができ、研究論文を完成させ、学会誌に公表された。
さらに従来の予定はペアトレード戦略の研究を進め、その成果を用いた新たなスマートベータの構築可能性を検討するものであったが、近年着目されている企業のガバナンスに着目したスマートベータや信用リスクに着目したスマートベータの構築可能性も視野に入れ、それぞれの企業特性について研究を行った。その結果は2つの研究論文として学会誌(うち1つはレフリー付き)に公表され、2件の国内学会で発表した。
これらの研究により、様々な企業特性のスマートベータが構築できれば、予定していた以上に資産運用の効率化を実現できる可能性があり、当初の計画以上に研究が進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は新たに着目した企業特性である企業のガバナンス、信用リスクに着目したスマートベータの構築に関する研究を継続し、より効率的なスマートベータの構築を目指す。具体的には、企業のガバナンスとして、ストックオプション制度に着目し、ストックオプション制度と企業特性や株式リターンの関係性を分析する。平成28年度に行った中期経営計画とともにストックオプション制度は企業のガバナンスに関する企業行動である。これらの制度を研究することでガバナンスに関するスマートベータの構築可能性をより深く検討できる。
信用リスクについては、非上場企業に関する信用リスクの計測を検討する。非上場企業の信用リスクを正確に計測できれば、高い効率性の株式指数構築が可能となり、年金資金の運用効率化も実現できると考える。

次年度使用額が生じた理由

物品費の価格が下がったため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本研究用の備品購入費の一部として使用する計画である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Optimal Multiple Pairs Trading Strategy using Derivative Free Optimization under Actual Investment Management Conditions2017

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, R and Hibiki, N.
    • 雑誌名

      Journal of the Operations Research Society of Japan

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Excess Comevement and Investor Attention in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Tokunaga, T. and Yamamoto, R.
    • 雑誌名

      武蔵大学論集

      巻: 64 ページ: 9-26

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 企業の中期経営計画に関する特性及び株主価値との関連性について~中期経営計画データを用いた実証分析~2016

    • 著者名/発表者名
      淺田一成, 山本零
    • 雑誌名

      証券アナリストジャーナル

      巻: 54 ページ: 67-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rではじめる信用リスク分析-順序ロジットモデルを用いた格付けモデル構築-2016

    • 著者名/発表者名
      山本零
    • 雑誌名

      オペレーションズ・リサーチ

      巻: 61 ページ: 365-370

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ベイズ修正を用いた利益ベースの 構造型信用リスクモデルの改良2017

    • 著者名/発表者名
      山本零, 澤田一成
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会 2017年春季大会
    • 発表場所
      沖縄県市町村自治会館(沖縄県・那覇市)
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-17
  • [学会発表] ファンド運営を意識した下での複数ペアを用いた最適ペアトレード戦2017

    • 著者名/発表者名
      山本零, 枇々木規雄
    • 学会等名
      日本金融・証券計量・工学学会2016年冬季大会
    • 発表場所
      武蔵大学(東京都・練馬区)
    • 年月日
      2017-02-17 – 2017-02-18
  • [学会発表] ファンド運営を意識した下での複数ペアを用いた最適ペアトレード戦2016

    • 著者名/発表者名
      山本零, 枇々木規雄
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会 2016年秋季大会
    • 発表場所
      山形大学(東京都・山形市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-16
  • [学会発表] 企業の中期経営計画に関する特性及び株主価値との関連性について~中期経営計画データを用いた実証分析~2016

    • 著者名/発表者名
      山本零, 淺田一成
    • 学会等名
      日本金融・証券計量・工学学会2016年夏季大会
    • 発表場所
      成城大学(東京都・世田谷区)
    • 年月日
      2016-08-08 – 2016-08-09
  • [学会発表] Optimal Multiple Pairs Trading Strategyusing Derivative Free Optimization under Actual Fund Management Conditions2016

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, R., and Hibiki, N.
    • 学会等名
      EURO-Informs 28th European Conference
    • 発表場所
      ポズナン・ポーランド
    • 年月日
      2016-07-03 – 2016-07-06
    • 国際学会
  • [備考] 武蔵大学教員プロフィール

    • URL

      https://up.musashi.ac.jp/pfm/japanese/researchersHtml/RT1F15001/RT1F15001_Researcher.html

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公開日: 2018-01-16  

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