今年度は1年目に引き続き,様々な尺度水準をもつ複数の変量が混在する場合の新しい主要点の解析方法を提案するとともに,これまで得られてきた研究成果をもとにビッグデータのスモールデータ化のための主要点解析法を体系化し,適用例の蓄積進める.さらに,実際に得られた知見をもとに企業にテストマーケティングを行ってもらい,提案手法のビジネス有効性を示すことを目的に研究活動を展開してきた. まず、これまで主要点解析法は離散値をとる変数における代表値を求める問題であったが,これを連続,整数,カテゴリカルな変数が混在している場合の主要点解析法へと拡張していったところ,それまで,別の領域で研究が進められてきた潜在クラスモデルに帰着することがわかった.そこで,潜在クラスモデルを基にした主要点を求めるための方法を提案し,それを実際の企業での複数のデータに適用し,その妥当性について検討した.また,時系列の構造をもつデータに対しても主要点を定義し,その分析方法に関する考察,および正規性の検定の方法を提案した. さらに,前年度から提案してきた様々な手法を実データへと応用し,様々なビジネスにおける問題点を解決してきた。これらの成果については,今後も継続して論文にまとめていく予定である. しかしながら,当初の目標としていた分析結果を基にしたテストマーケティングについては,企業との調整がつかない,または長期的に観測しなければ効果として評価することができないという理由から結果として示すことができなかった.分析結果を実際の意味のあるビジネスアクションに有意につなげることができなかった点に関しては,今後も継続して研究を行い,改善していきたい.
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