本研究を通して、事例の進展関係のNetwork Graph構造を解析し、主部-述部の関係を基礎単位として進展を可視化するソフトウェアシステムを開発した。構文解析器Cabochaを基に主語と述語を抽出するサブモジュールとして確立させ、連接語を抽出できるようにした事で、安定した主部-述部の抽出が可能になった。本ソフトウェア・システムでは、その主部-述部との進展のグラフを書き出す機能を有する。
本システムを、PEC-SAFER事故事例集のパトロール(/巡回)に対して適用した所、進展が結果的に(主格){巡回者|発見者}が{発見(した)}(述格)となったのは、29件の約1割弱の事例であった。加えて、それ解析した結果、主に視覚異常発見、嗅覚異常発見、聴覚異常発見の3種類に分類でき、どういった進展となるかが明らかとなった。また、抽出した進展を基に巡回者支援のためのオントロジーについて研究し、巡回者支援のためのウェアラブルPCシステムの開発に繋がった。本システムは、巡回者に負担を抑えつつ巡回の質の向上すべく、巡回すべき箇所の確認を2次元バーコードをマーカーとしてヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)に備えたカメラで撮影する事で自動的に巡回した事実を記録する事ができるシステムである。進展解析結果を取り入れたオントロジーを用いる事で、HMDに備わったカメラを通して様々な支援を実施するための知識基盤の構築に役立った。
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