研究課題
2004年インド洋津波や2011年東日本大震災の被害データより、幾つかの種類の津波被害関数が構築された。但し、被害関数は地域性(津波外力、地形等)からの影響が高く、そのまま構築された被害関数を別の地域へ適用することの精度は不明である。また、全ての現地調査・数値解析による被害関数は最大浸水深を用いて構築されたものである。しかし、実際に建物が全壊・流失するのは最大浸水深ではなく、流速の方が効いてくると、様々な先行研究から知られているが、まだ確かめた研究がなかった。平成28年度から建築設計基準をレビューし、平成29年度に引き続き、実際に津波による建物被害を受けたことが無かった地域へ適用するため、新しい手法として津波数値解析より得られる外力(流体力)、漂流物による力、設計上の建物の耐震力(せん断応力)を考慮し、一棟毎に適用し、流失もしくは転倒による被害が発生するかの判断基準とした。平成29年度までは流失による被害だけを検討した。平成30年度2011年東北地方太平洋沖地震津波・石巻市を対象した結果、建物がスライドの被害パターンだけではなく、転倒による被害パターンを考慮しないと地域全体の被害が再現出来なかった。研究対象地域ではスライドだけで約60%、転倒も含めると90%以上の良い被害再現結果が得られた。得られた結果は学術論文としてまとめて、令和元年度にはNatural Hazards and Earth System Sciencesと言う災害研究分野において有名な雑誌に掲載された。また、2018年に発生したスラウェシ島津波、スンダ海峡津波の建物被害調査等にも関わて、異なる津波外力と建物被害特徴に関する研究も行った。今後、この事業で開発した技術は国内はもちろん、インドネシア等に適用することが期待できる。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Natural Hazards and Earth System Sciences
巻: 20 ページ: 549‐565
10.5194/nhess-20-549-2020
Journal of Disaster Research
巻: 15 ページ: 1-13
巻: 19 ページ: 1807-1822
10.5194/nhess-19-1807-2019