申請者は,包括的心筋細胞モデルを活用してイオンチャネルの量的変化を表現し,胎生初期段階の自発興奮,及び後期段階から新生仔期における活動電位波形の変化をコンピュータ・シミュレーションにより再現した.本研究では,胎仔期と成体における代謝動態を再現するため,数理モデルの拡張とパラメータの実装を行った.胎仔期と成体のモデルではATP産生に関わる解糖系,ミトコンドリアの電子伝達系,クレアチンリン酸分解のバランスが異なる.この違いにより,胎仔期モデルと成体モデルでは解糖系の中間代謝物の濃度が異なる値で定常に至ることを示した.
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