研究課題/領域番号 |
16K16394
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
SAPKOTA ACHYUT 木更津工業高等専門学校, 情報工学科, 助教 (70724706)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血液凝固 / 体外循環 / メタボローム解析 |
研究実績の概要 |
体外循環装置を用いた治療法(補助人工心臓、人工透析、人工心肺を用いたバイパス手術)における血液の凝固が大きな問題である。この問題の対策として、凝固リスクを調べ、抗凝固処置を行う必要がある。凝固リスクを調べるためには、トロンボエラストグラフィ(TEG)や活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)などのオフライン計測が一般的である。これらは、循環流路から血液を取り出し、活性化剤と混ぜて凝固するまでの時間から血液の凝固リスクを評価する方法である。これらの方法では、一回の凝固リスクの評価に数分かかり、リアルタイムの血液状況を調べることができず、最適な抗凝固薬投与量および投与のタイミングを判断することが非常に困難である。また、抗凝固処置の副作用として出血や血小板減少症などのリスクが高まる。従って、リアルタイムで凝固リスクを把握し、最適な抗凝固処置を行うためのリアルタイム計測法が重要となるものの、未だそのような方法は存在しない。したがって、本研究は電気信号法で計測できるバイオマーカによってリアルタイムで凝固リスクを調べる方法を確立することを目的とする。具体的な方法としては、1)実験とシミュレーションによって代謝物、タンパク質などの「分子バイオマーカ」および流体―構造連成、血流流量、粘性などの「生理学的バイオマーカ」の電気特性のデータベースを構築し、2)同データベースを先験的な情報として扱い、リアルタイム電気計測と比較し、アルゴリズムによって凝固リスクを数値化する。28年度では主に分子バイオマーカの予測に関する研究を実施した。凝固リスクの異なる血液における代謝物の状況変動のメタボローム解析を行い、血液凝固と関連する代謝物を予測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想通りメタボローム解析を行うことができた。血液凝固と関連するメタボロームバイオマーカを計測可能にするための電気計測実験も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は血液凝固の視点から血液の流体―構造連成シミュレーションを行い、血液凝固リスク、流体力学的パラメータ、および誘電率の関係を調べて、実験とシミュレーション結果をデータベース化する。シミュレーションと実験結果を先験的な情報として扱い、リアルタイムでの電気計測と比較し、凝固リスクを判断できるアルゴリズムを開発する。最終的には、センサ、データベースおよびアルゴリズムから構成される凝固リスク判断方法の全体的検証を行う。
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