研究課題/領域番号 |
16K16395
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
櫛笥 博子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 産総研特別研究員 (90723065)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Organ-on-a-chip / 自律神経 / 褐色脂肪細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は生体メタボリズム機構に関わる組織間ネットワークをin vitroにて再構成する生体工学の融合的な研究に挑戦するものであり,褐色脂肪細胞と自律神経(交感・副交感神経)を繋げたOrgan-on-a-chipの開発を目指す。 本研究では患者個々人の細胞を再現したOrgan-on-a-chipによる創薬研究(薬剤試験)への応用を視野に入れているため,家族性自律神経失調症(Familial dysautonomia, FD)に着目した研究を進めている。我々は米国Salk研究所との共同研究としてFD患者由来のiPS細胞(FD-iPS細胞),ゲノム編集技術により疾患原因とされる遺伝子変異を修復したiPS細胞(FDGE-iPS細胞)を樹立した。これらの細胞株から自律神経を分化誘導したところ,FD-iPS細胞由来の自律神経は健常者iPS細胞およびFDGE-iPS細胞由来のものと比較して接着性や分化効率が低いと考えられた。さらに,当研究室が確立した自律神経の分化誘導法を用いることで,誘導過程において異なる遺伝子発現の変遷がみられたため,詳細な解析を進めている。また,誘導した自律神経の機能解析も進めており,交感・副交感神経による褐色脂肪細胞の熱産生制御の解析に適したOrgan-on-a-chipの開発に向けて検討を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国Salk研究所との共同研究で疾患iPS細胞やゲノム編集技術で遺伝子変異を修復したiPS細胞を樹立することができ,自律神経の誘導過程における遺伝子発現の変遷や神経機能の解析を進めることができているため,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては,各種のiPS細胞株から分化誘導した自律神経の機能解析や褐色脂肪細胞との接続実験を進めるとともに,デバイス上での解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主に分化誘導実験や遺伝子発現解析を進めていたため,デバイス上での解析費用等を次年度に繰り越した。
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