PEEKおよびグラファイト・PTFE配合炭素繊維強化PEEK(CGF-PEEK)に硫酸処理を施し、基材表面に細孔を形成した。その後、グロー放電により酸素プラズマを基板に照射した。グロー放電処理後、トリスヒドロキシメチルアミノメタンの溶解によりpHを上昇させた擬似体液に基板を浸漬し、液温を上昇させた。これにより、PEEKおよびCGF-PEEK表面の細孔内に形成し、生体活性を付与した。 硫酸処理により、PEEKおよびCGF-PEEKの表面に網目状の細孔が形成された。レーザープローブ非接触三次元測定等の結果、硫酸処理による細孔形成により表面粗さおよび表面積が増大したことが分かった。さらにグロー放電後にはエッチングの効果も加わって表面粗さはさらに増加したが、表面積は保持されることが分かった。各処理段階における接触角を調べたところ、未処理および硫酸処理後の基板は疎水性を示すのに対し、グロー放電処理後およびアパタイト核処理後の基板は親水性を示すことがわかった。基板表面近傍の耐摩耗性を評価したところ、グロー放電処理後およびアパタイト核処理後のCGF-PEEKは未処理基板と同等の摩擦係数を示すことがわかった。また、各処理段階後におけるX線光電子分光測定の結果、硫酸処理後においてスルホ基の形成が、グロー放電処理後においてスルホ基の増加とカルボキシル基の形成が確認された。ゼータ電位測定では、各処理段階の基板で負の帯電が見られたが、アパタイト核処理後ではゼータ電位が0に近い値をとることがわかった。 上記の工程により得られた生体活性PEEKおよび生体活性CGF-PEEKを擬似体液に浸漬したところ、材料表面全体が1日以内にアパタイト層で覆われ、高いアパタイト形成能を示した。また、形成したアパタイト層は、インターロッキング効果により高い接着強度を示した。
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