研究課題/領域番号 |
16K16408
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 隆宏 大阪大学, 情報科学研究科, 特任助教(常勤) (10722829)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DNAナノテクノロジー / POCT / バイオセンシング |
研究実績の概要 |
本研究は、マイクロRNA(miRNA)バイオマーカーのその場検査を実現するために、簡易な操作で超多重miRNA測定を可能にする分子情報の光伝送技術を開発する。miRNA情報の効率的な伝送のための蛍光符号化を提案し、DNAの自己組織過程を利用して実証する。試薬の混合と簡易な蛍光計測により、トレーニングフリーで利用可能な、miRNAの検出・定量技術の実証を目的とする。 本年度は、蛍光増幅の時間発展と蛍光波長の組み合わせを利用した蛍光符号化と一括多重に取得した蛍光信号のベイズモデル選択に基づく復号化手法の原理実証と数値シミュレーションによる評価を行った。複数分子を同時多重に検出するために、特定の蛍光信号を生成するように配列設計された蛍光符号化DNAを設計した。蛍光符号化DNAによる蛍光信号生成プロセスを、蛍光取得時の読出しノイズ、蛍光符号化の規則、符号化過程の反応速度パラメータによりモデル化した。このモデルを元に、多重化して得られた蛍光信号から含まれるDNAが推定できることを示した。実証実験により、三種類の蛍光プローブにより10種以上の同時検出が可能であることを示した。また、蛍光信号への符号化プロセスにおけるエラー耐性を評価し、拡張に向けた設計指針を得た。PCR等の増幅機構に本手法を組み込むための、酵素反応に基づくDNA配列変換機構の検討を行った。miRNAから蛍光符号化DNAへ変換する手法を設計した。同時多重検出のための、マルチプレクスPCR系への適用を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数分子を同時多重に検出するために、特定の蛍光信号を生成するように配列設計された蛍光符号化DNAを設計した。蛍光符号化DNAによる蛍光信号生成プロセスを、蛍光取得時の読出しノイズ、蛍光符号化の規則、符号化過程の反応速度パラメータによりモデル化し、得られた蛍光信号から含まれるDNAが推定できることを示した。また、蛍光信号への符号化プロセスにおけるエラー耐性を評価し、拡張に向けた設計指針を得た。また、本プローチのマルチプレクスPCRへの適用を検討した。この成果は当初の計画とおりに進行していることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を元に、未知濃度のmiRNA群を測定するために、復号アルゴリズムを開発する。対象濃度に応じて蛍光符号化過程が変化することを利用し、推定アルゴリズムを改良する。実際にマルチプレクスPCR系を構築し、モデル化に必要となるパラメータの取得を行う。そこで得られた条件と使用する測定装置のスペックを考慮し、計算機シミュレーションにより、40種程度のmiRNAが同時多重検出可能な蛍光信号の割り当てを設計する。この設計を元に、実験により本手法を実証し、その有効性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定のための光学系構築に遅れが出ているため、差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
予定した光学系構築のための光学部品の購入に充てる。
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