本研究では生体内レドックス状態を動的核偏極磁気共鳴画像(DNP-MRI)で評価することで非アルコール性脂肪肝疾患/非アルコール性脂肪肝炎(NAFLD/NASH)の病態発症、進展を正確に診断するための技術開発を目的としている。平成28年度ではメチオニン-コリン欠乏食餌をあたえたNAFLD/NASH病態モデルマウスを対象にして病態の進行とともにマウスの生体内レドックス状態の変化をin vivo DNP-MRIで捉え、レドックス状態が病態を反映していることを示してきた。平成29年度はそのメカニズム解明を試みるために詳細な検討を行った。その結果、in vivo DNP-MRIで検出されたレドックス状態の変化が肝細胞レベルでも同様の変化が生じていることが確認され、統計解析の結果、病態モデルマウスの病態進行ならびにin vivo DNP-MRIで得られた結果と相関性が認められることを示すことができた。さらには、NAFLD/NASHの病態発現の原因として細胞内のミトコンドリアに機能異常が生じていることが示唆されているが、ミトコンドリア自体のレドックス状態についても肝細胞から単離したミトコンドリアを用いて評価を行った。電子伝達系に関連した基質の有無やKCN存在下でのミトコンドリアレドックス代謝に関する評価をおこない、電子伝達系の活性とレドックス代謝の相関性がしめされ、病態発現時にはミトコンドリア電子伝達系に機能異常がおこりレドックス代謝に影響を与えていることが示唆された。
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