研究課題/領域番号 |
16K16412
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
秋口 俊輔 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (50462130)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管血流分布画像 / in-vivo計測 / イメージング / 診断技術 / 面計測 |
研究実績の概要 |
本テーマの基本は完全非侵襲での皮膚内部の血管イメージングである。そのため、まず皮膚内部の血流計測について、血流方向の取得に関する検討及び計測時に皮膚が与える影響について調査した。本装置は計測線に直交する方向の速度を測定可能であるが、方向によらない速度計測の可能性があることが分かった。また皮膚が計測に与える影響として、計測深度によってドップラー信号強度が変化する様子を確認した。 次に血流情報の高速取得化についてシステムの構築を行った。これまでは光ファイバーアレイを1次元的に配置しており、計測線を移動させることで平面の計測を行っていた。この光ファイバーアレイを面状に配置することで1面を同時に計測可能とした。また、これまでのデータ取得にはデータレコーダーを用いており、一端CFカードに保存した後、解析用PCで処理を行っていた。この部分にADボードを導入することで直接解析用PCにデータを取り込むことが可能となった。このようなシステムの改善に伴い、データ解析を行うソフトウェアについても改良を行った。これにより、計測データを直接PCに取り込みながら即時解析し、結果をその場で画像として表示可能となった。 モデルマウス作製について、当初熱傷及び皮膚移植モデルマウスの作製を予定していたが、まずは切開縫合からの段階的な計測の方が応用範囲が拡がるとのアドバイスにより、切開縫合したマウスの計測に切り替えた。切開縫合の場合においても皮膚移植・熱傷における血管新生・血流再開と類似であると考えられる。現在第一回目の計測を行い、その結果について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は完全非侵襲での皮膚内部の血管イメージングによる各種症状の診断である。研究期間一年目(平成28年度)においては、血流方向の取得に関する検討及び計測時に皮膚が与える影響についての調査、血流情報の高速取得化に取り組んだ。その結果、方向によらない速度計測の可能性や、計測深度によってドップラー信号強度が変化する様子を確認した。また、データレコーダーに代わりADボードを導入したシステムを構築することで直接解析用PCにデータを取り込むことを可能とした。さらにデータ解析を行うソフトウェアを改良し、結果をその場で画像として表示可能とするなど、血流情報の高速取得化を実現した。モデルマウス作製については専門家のアドバイスに基づき計測対象を若干変更したが、生体を用いた計測実験を行っている。総合的に達成度を評価すると、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
改良した計測システムについて、どの程度の高速取得化が実現できているのか、対応可能な計測範囲などについて調査を行う。また、面計測が可能な装置は未だ新規な部分が多いため、計測性能について引き続き検討を行う。これまでに切開縫合マウスの計測を実施しているので、これについて解析を行う。この計測は予備計測の意味合いが強いため、この解析結果に基づいた本実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用計画では新規に光ファイバーアレイを購入予定であったが高額となったため自作に切り替えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ADボードのチャンネル数増加が計測範囲拡大に直結するため、ADボードを購入予定である。また高速取得化には解析用マシンや大量の計測データ保存用のファイルサーバーの増強が必要である。また、血流の流れ方向の取得にも着手予定であるため計測装置の拡張(アンプモジュール、アバランシェフォトダイオードなどの電子部品)に使用する予定である。
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