研究課題/領域番号 |
16K16414
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
大藪 淑美 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 主任研究員 (80587410)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞の休眠化 / ゼラチン / 包埋 / 高弾性率 |
研究実績の概要 |
再生医療・再生治療では、数十年の歴史を持つと受けす保存方法が細胞侵襲性と妥協しながら利用されているが、細胞を安全かつ簡易に短期に保存できる技術が求められている。先行研究で、ゼラチンのゲル化温度を30℃に向上させることに成功して、室温で強固にゼラチンに包埋した皮膚線維芽細胞シートが1週間形態を変えず、90%を超える生存率を保持して再度培養へと移行したことを見出した。本研究では、室温で硬い細胞接着性ゲルマトリックスに包まれた細胞が休眠化することを実証するとともに、その休眠化機序を明らかにして、再生医療における細胞保存方法を革新することを目的とする。 当該年度は、高弾性ゼラチンゲルに包埋された細胞が休眠化する可能性を示唆した。同一視野追跡により、包埋された細胞が、包埋中の増殖・遊走の停止、ならびに再培養後の増殖・遊走の再開を観察することを明らかにした。しかしながら、細胞周期マーカー(FUCCI)を導入した細胞を用いて包埋したが、その細胞がG0期(休止期)への収束を確認できなかった。したがって、現状では、包埋された細胞がG0期であることが実証されていないため、包埋細胞が低代謝状態である可能性もまだ、残されている。 そこで、次年度では、計画内容とは異なるが、包埋細胞の代謝活性を調べることを追加し、包埋された細胞が休眠状態なのか、低代謝状態であるのか、明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた細胞では計画が実施できなかったため、他の細胞を選定し直して遅延した。また、細胞の変更により、これまでの休眠化現象が捉えられなくなった。その原因が細胞種なのか、あるいは手技なのかを再検討して遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
計画では、包埋された細胞の挙動で評価する方法を用いていたが、細胞の種類が限定される。種類に関係なく、ゼラチンで包埋した細胞を、組織学的評価ならびに分子生物学的評価できることを検討し、今後は細胞の種類を戻して、休眠化現象の実証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画の細胞では評価できなかったため、細胞を再検討する作業に時間を要したために、研究が大幅に遅延した。そのために、次年度では、計画を変更して、当該年度に予定していた実験を含めて実施するため、翌年度に請求する。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度に実施を計画していた評価、さらに低代謝である可能性も示唆されたために、代謝活性測定を、次年度に計画している。したがって、当該年度の残予算は、次年度に使用する必要がある。
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