研究課題
経カテーテル大動脈弁置換術後の重症有害事象について、デバイスに関連したものや手技に関連したものは、そのほとんどが術後30日以内に発生しており、実臨床におけるデバイスの安全性検証において施術後30日間は特に重要であることが示唆された。分析結果の一般化可能性を検証するため、他の医療機器における市販後調査で類似の検証を計画した。しかし、使用を想定していた製品の販売中止などから、他の市販後調査データの実証検証は困難となった。そのため、近年国内において承認を得た医療機器3種(Bioabsorbable vascular scaffold、Flow diverter、Transcatheter mitral valve repair)を対象に、海外レジストリを用いた実臨床での安全性評価研究論文をレビューし、有害事象イベントのタイミングを検証した。各論文におけるインターベンションに関連した有害事象(もしくはアウトカム)発生のタイミングについても、施術後1年間のイベントを100%と置いた場合の30日以内イベントの割合を評価した。アウトカムの発生のタイミングはデバイス及び対象アウトカムによって大きくバラつきがあった。全体を通しては、医療機器に関連の強いアウトカムほど施術後30日以内の発生割合が高く、一方、生命予後など患者の全身状態・背景因子が強く関連するアウトカムは一定の頻度で発生し続け、周術期のみの観測ではその全体像の把握が難しいことが示唆された。同一のデバイスにおける同等のアウトカムのキャプチャにおいても、患者背景などレジストリの性質によって発生のタイミング集積が異なるケースもあったことから、新規レジストリにおけるデータ収集設計においては、既存レジストリからの情報が参考にはなるものの、当該レジストリの特徴の把握は必要であり、運用過程での検証と修正を繰り返すことが望ましいと考えられた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Circulation Journal
巻: 82 ページ: 1951~1958
10.1253/circj.CJ-18-0211