研究課題/領域番号 |
16K16418
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
石井 浩統 日本医科大学, 医学部, 助教 (50614830)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医学教育 / 外科教育 / オン・ザ・ジョブ・トレーニング |
研究実績の概要 |
2020年度は、昨年度に引き続いてトヨタ生産方式の手法を踏まえた救急・外科医療手技教育方法の開発をおこなったが、コロナ禍にあって我々の臨床現場が大きく影響を受けることとなったため、臨床現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングをテーマとする本研究の研究内容や進捗に関して、以下のような調整を要した。 我々の臨床現場が扱う重症症例には、新型コロナウィルス肺炎に罹患し重篤な呼吸不全に陥ったあげくの症例が多数を占めるようになり、それぞれ十分な感染防御を行った上での診療行為を要求されることになった。これまでの本研究では、救急患者における非接触バイタルセンシングの重要性が認識されていたが、なおいっそう非接触バイタルセンシングに対するニーズが高まっていると皮膚感覚を持つようになった。その点から、研究の軸足の一つを同テーマに置くこととなった。 また、そのような状況下では、手技は難度が上がるとともに、みせる、させてみる指導が困難になり、未習熟者に対する指導に支障をきたすようになった。つまり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングにとって不都合な環境が生まれており、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会損失に結びつきかねない状況が生まれた。したがって、質の高い写真・動画、VRコンテンツなどを作成し、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングをオン・ザ・ジョブ・トレーニングに近いかたちにデジタルフォーメーションさせる必要性が認識されるに至った。そのため、素材となる写真・動画の収集し、これまでの本研究で得られた臨床手技の動作分析データをあわせ、新たなジョブ・トレーニングの形作りに向けたデジタルコンテンツ作成を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始から現在まで取り組んでいるテーマである、トヨタ生産方式の手法を踏まえた救急・外科医療手技教育方法の開発に関しては、研究発表も行っており、次の段階として、論文作成などの文献化の準備を行えている。 また、非接触バイタルセンシングや教育リソースとしてのmedical photographyの展開に関しても、周辺からの関心や期待も高まっており、研究協力者も得ながら進める見通しが立っている状況である。 以上から、研究の進捗としては新たな流れができていることも踏まえ、順調な進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のテーマである、救急医療現場における医療手技のオンザジョブトレーニングとして、トヨタ生産方式の手法を用いる試みをさまざまな手技へ広げていく。 上記の過程で収集される動画データ、動作分析データをもとに、従来のオン・ザ・ジョブ・トレーニング、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングの枠にとらわれない形での教育コンテンツを作成する試みを行う。 また、確立させつつある動画分析手法を発展的に応用し、現在の救急患者におけるバイタルセンシング手法を分析し、それらのデータを分析したうえで、最終的には非接触バイタルセンシングの開発への端緒をつける。 medical photographyという視点から、これまでの画像データをとらえなおし、教育や研究、記録などの新しい方策を見出すことを試みる。 これまでの研究全体を総括し、学会発表、論文発表を含めた方法で社会に発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概要で述べたように、コロナ禍にあって、研究計画を修正される事態となり、結果として、次年度使用額が発生することとなった。ただし、研究の方向性としては新たな展開がおこっているため、それらを踏まえた研究内容の充実のために、本年度使用することとしている。
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