研究課題/領域番号 |
16K16427
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
本田 祐一郎 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (40736344)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 筋性拘縮 / リハビリテーション / 線維化 / マクロファージ / 筋核 / 筋線維萎縮 |
研究実績の概要 |
本年度は「不動化した骨格筋におけるマクロファージ集積の分子機構の解明」を主目的として掲げ,不動化した骨格筋における筋線維萎縮の発生に筋核数の減少が関与しているのか,また,このことが先行研究で明らかにしているマクロファージ集積と関連しているのかを検討した.実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット20匹を用い,両側足関節を最大底屈位にてギプスで1,2週間不動化する不動群(各5匹)と同週齢まで通常飼育する対照群(各5匹)に分けた.各不動期間終了後は各ラットの両側ヒラメ筋を採取し,これらの筋試料から凍結横断切片を作製した.そして,抗ジストロフィン抗体に対する免疫組織化学染色ならびに核染色を施し,各筋試料につき100本以上の筋線維について横断面積と筋核数を計測した.加えて,各筋線維について横断面積を筋核数で除したデータを1つの筋核が制御する細胞質領域,すなわち筋核ドメインと規定し,上記と同様に100本以上の筋線維について算出した.その結果,不動群の筋線維横断面積は不動1,2週とも対照群より有意に低値を示し,不動期間で比較すると不動2週は不動1週より有意に低値を示した.また,不動群の筋核数は不動1週で対照群より有意に低値を示したが,不動期間による有意差は認められなかった.加えて,不動群の筋核ドメインは不動1週では対照群と有意差を認めなかったが,不動2週では対照群より有意に低値を示した.つまり,不動1週での筋線維萎縮には筋核数の減少が直接的に影響し,不動2週での筋線維萎縮の進行には,このことに加え,筋構成タンパク質の分解亢進が影響していると推察される.さらに本年度の検索結果と自験例における先行研究の結果を統合すると,不動1週でのマクロファージの集積は筋核が制御していた細胞質領域を貪食するためと考えられ,このことが発端となって線維化発生の分子機構が活性化するのではないかと予想している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「不動化した骨格筋におけるマクロファージ集積の分子機構の解明」という研究目的を基盤に計画を進めてきた.その結果,筋性拘縮の主要な病態であるマクロファージの集積に筋核数の減少に伴う筋線維萎縮が関与している可能性が見出された.つまり,これらの成果から本年度の研究目的は概ね達成されていると考えられ,本研究課題は当初の計画通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果から,不動に伴う骨格筋内のマクロファージ集積に関する分子機構には骨格筋における筋核数の減少が関与している可能性が見いだされた.そこで,次年度は不動化した骨格筋の一部から作製した凍結横断切片にTUNEL染色を施し,筋核におけるアポトーシスの発生状況を評価する.さらに,一部の不動化した骨格筋は生化学的手法あるいは分子生物学的手法に供し,筋核のアポトーシスの誘導に関与するcaspase-3や単球類の走化性を活性化するMCP-1の発現状況を検索する.そして,これらの結果と前年度の結果を統合し,筋性拘縮の発生に関わる分子機構の解明を目指す.
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