わが国では「フレイル(虚弱)」が大きな医学的・社会的問題となっているが、フレイルが肺癌による肺切除術の経過に与える影響についての報告は非常に少ない。今回、肺癌肺切除患者におけるフレイル合併症例の割合、ならびに術後経過にフレイルが与える影響を検討した。 対象は聖隷三方原病院において肺切除術を施行した肺癌患者105例(67.3±8.5歳、男性61名)。フレイル合併例は全体の10.5%を占め、プレフレイルを含めると全体の44.7%であった。フレイル群は統計学的に有意に年齢が高く,術前筋力および6分間歩行距離で低値を示した。一方で、術後における在院日数、合併症発症率には有意差はなかった。
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