研究課題
<研究1>従来用いられてきた血管スティフネスの指標と比較して,剪断波エラストグラフィを用いて測定した血管スティフネスが血管の器質的変化をより反映するかを検証した.健康若年女性10 名を対象とし,月経期,卵胞期後期の計2 回,総頸動脈(CCA)および内頸動脈(ICA)にて動脈コンプライアンス,β スティフネスを測定し,その後,剪断波エラストグラフィを用いてヤング率を測定した.また,血管の機能的要素の指標としてICAの血流依存性血管拡張反応(FMD)を測定した.本年度,上記の結果を解析した結果,CCA およびICA のヤング率は,月経周期間に有意な変化を認めなかった.また,月経周期における各指標の変化率は,従来のスティフネスの指標である動脈コンプライアンスと比較して,ヤング率で低値を示す傾向があった.ICAのFMDは月経期と比較して卵胞期後期で有意に高値を示した.また,ヤング率と血中エストロゲン濃度,ヤング率とICAのFMDの間には,有意な相関を認めなかった.このような結果から,剪断波エラストグラフィで測定する血管スティフネスの指標は,血管の機能的変化(刺激に対する反応性)よりも,器質的変化(動脈壁そのものの組織的な硬さ)を反映できる手法である可能性が示唆された.<研究2>従来の血管スティフネスの指標である脈波伝搬速度(PWV)は急性運動後に変化する.このことは,従来の血管スティフネスの指標は、器質的な要素だけでなく、 機能的な要素の影響を大きく受けていることを示している.そのため,本研究では,剪断波エラストグラフィで測定した血管の硬さが急性運動後に変化するかを検証した.健康な若年男性12名を対象とし,70Wで5分間自転車運動を行った5分後、15分後に大腿動脈の剪断波エラストグラフィとPWVを測定した.今後,解析結果を報告する予定である.
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件)
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