研究課題/領域番号 |
16K16443
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
木下 翔司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60748383)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | リハビリテーション / 脳機能画像 / 上肢麻痺 / 経頭蓋磁気刺激 |
研究実績の概要 |
亜急性期脳卒中患者9例の手指課題実施時における一次運動野、補足運動野、前頭前野の脳活動を機能的近赤外線スペクトロスコピー(fNIRS)を用いて測定した。fNIRSデータの統計処理手法の選定と解析に時間を要したが、無事解析は終了した。亜急性期脳卒中患者における脳活動変化と上肢機能改善の関連が明らかになることで、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)をふくめたニューロモデュレーションの適切な介入手法が明らかになるものと考える。解析結果をもとに現在論文執筆中である。 また回復期リハビリテーションを実施した症例の脳活動をfNIRSを用いて測定を行うことで半球間抑制の伸展を評価し得た。この症例に対しては半球間抑制の伸展をみとめたのちに低頻度rTMSと集中作業療法を実施し、十分な上肢機能の治療効果を得た。さらにfNIRS測定により脳活動の健側から患側大脳半球へのシフトを認めた。本内容は国内学会で発表を行った。今後本治療プロトコールの症例集積をすすめていく。 上肢麻痺を有する慢性期脳卒中患者59例にたいし低頻度rTMSおよび集中的作業療法(NEURO-15)を実施する前にfNIRSをもちいて脳活動を測定した。解析結果より治療前の脳活動と治療効果に有意な関連があることを示すことができた。fNIRS測定をおこなうことで低頻度rTMS治療による治療効果予測が出来ることが示された。本内容は国内学会で発表済みである。 さらに低頻度rTMSおよび集中的作業療法が失調性片麻痺(ataxic hemiparesis)の改善に有用であることを論文発表した。 データ収集および解析は順調に進んでおり今後は学会発表、論文投稿を順次すすめていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上肢麻痺を有する回復期リハビリテーションを提供されている亜急性期脳卒中患者のデータは収集し得た。さらに低頻度rTMSと集中作業療法を提供された慢性期脳卒中患者のデータも収集し得た。 fNIRSにもとづく亜急性期脳卒中患者にたいする高頻度及び低頻度rTMSの選択に関してはまず症例での実施がおこなえた。亜急性期脳卒中患者を対象としfNIRSにもとづいてrTMS手段を選択し実施するパイロット研究の症例集積はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
上肢麻痺を有する回復期リハビリテーションを提供されている亜急性期脳卒中患者の脳活動変化と上肢麻痺改善の関連については解析結果を得た。低頻度rTMSと集中作業療法を提供された慢性期脳卒中患者のデータも収集し得た。これらについては学会発表と論文発表を順次すすめていく。 fNIRSにもとづく亜急性期脳卒中患者にたいする高頻度及び低頻度rTMSの選択にかんしては症例での実施がおこなえた。症例報告として論文発表をおこなう。さらにfNIRSにもとづくrTMS手法を選択する治療介入に関しては症例集積を続けていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2017年度に磁気刺激コイルを購入し、該当年度の予算が枯渇し、論文作成に必要な英文校正費が不足したたために前倒し請求を行った。しかし論文作成が遅れたために該当年度での予算請求は行なわなわず余剰が発生した。2018年度において国内外での学会発表、論文作成に必要な費用(英文校正費、掲載費)として使用する予定である。
|