回復期リハビリテーション病棟に入院した皮質病変を含まない中等度から重度の上肢麻痺を有する初発の脳卒中患者を対象とし、上肢麻痺はFugl-Meyer Assessment(FMA)とAction Research Arm Test(ARAT)を用いて、発症1ヶ月および発症3ヶ月に評価を行った。同じ時期に近赤外線分光法を用いて測定された酸素化ヘモグロビン変化をもとに脳活動の評価を行った。半球間不均衡は一次運動野(ブロードマンの4野)および前頭前野および補足運動野(ブロードマンの6野)のLaterality index(LI)を算出することで指標とした。 8名の脳卒中患者(女性7名、平均年齢68.8歳)が研究対象となった。上肢機能はFMAおよびARATはともに有意な改善を認めた。LIは研究期間中に有意な変化を認めなかった。FMAの変化とLIの変化には有意な相関を認めなかった。しかし、ARATの改善と一次運動野のLI変化には有意かつ負の相関を認めた。本研究結果において中等度から重度の上肢麻痺を有する亜急性期脳卒中患者の非損傷半球の脳活動の亢進と上肢機能の改善に関連を認めた。回復期リハビリテーション病棟における他職種リハビリテーション治療により代償動作および非損傷半球の残存する運動ネットワークが賦活化された可能性が示唆された。 亜急性期脳卒中患者における脳活動変化と上肢機能改善の関連が明らかになる ことで、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)をふくめたニューロモデュレーションの適切な介入手法が明らかになるものと考えた。この結果を学術論文としてまとめ公開を得た。
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