研究課題/領域番号 |
16K16450
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
横山 真吾 豊橋創造大学, 保健医療学部, 助教 (30706859)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | muscleblind-like 1 / 選択的スプライシング因子 / C2C12 / RNA干渉法 / Mtosin heavy chain |
研究実績の概要 |
本研究は選択的スプライシング因子muscleblind-like 1(MBNL1)の挙動に着目し、加齢によって生じる骨格筋退行性変化のメカニズムを明らかにすることを目的としている。加齢動物を対象とした検討を予定しているが、加齢動物の作成には時間を要するため、平成28年度より飼育を開始し適齢となる平成29年度以降に分析を実施する。初年度となる平成28年度は培養細胞を用いた検討でMBNL1発現低下が筋細胞の分化過程におけるMyosin heavy chain(MyHC)発現に及ぼす影響について検討した。実験にはマウス筋芽細胞由来C2C12細胞を用いた。分化誘導72時間後のC2C12筋管細胞に対してsiRNAをトランスフェクションし、C2C12筋管細胞に発現するMBNL1をノックダウンした。siRNA処理を行った48時間後にC2C12筋管細胞を回収して解析を行った。その結果、本研究で用いたsiRNAによりMBNL1発現がmRNAレベルで約70%、タンパク質レベルで約80%抑制された。C2C12筋管細胞含有タンパク量はMBNL1ノックダウンにより有意に低下することが確認されたが、筋管細胞形成の指標となるmyogenin mRNA発現量にはMBNL1ノックダウンによる影響を認めなかった。また、 MyHC mRNA発現量を評価した結果、MBNL1をノックダウンすることで遅筋型、速筋型、中間筋型、胎児型および新生児型の発現が有意に増加していた。以上の事から、骨格筋細胞におけるMBNL1発現低下は分化過程に直接的な影響を及ぼさないもののMyHC mRNA発現を変調させ、結果的に細胞含有タンパク量を減少させることが明らかになった。今後はマウスを用いた検討で骨格筋組織においてもMBNL1の発現低下が加齢によって生じる退行性変化の起因となり得るのかについて検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年計画で実施する予定であり、初年度である平成28度は主に培養筋細胞を用いた検討を計画していた。培養筋細胞においてMBNL1発現低下がMyHC発現を変調させることを明らかにした本年度の成果は次年度以降実施するマウス骨格筋組織を用いた検討においても重要な示唆を与えるものである。また、既にマウス加齢モデルの作成にも着手していることから、おおむね順調に推移していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果により、MBNL1発現低下が骨格筋細胞の形質に及ぼす影響についてはおおむね明らかになった。しかし、そのメカニズムには不明な点が多く残されている。今後はRNAシーケンスの解析結果を参考に関連因子を特定するとともに、in vivoへの検討へと展開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はRNAシーケンスを3検体実施する予定であったが、2検体の解析で十分な結果が得られたため解析費用が予定よりも少なくなり未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度実施したRNAシーケンスの結果を参考に、それら遺伝子の発現を評価するための試薬を購入する費用として使用する予定である。未使用額を使用することでより多くの遺伝子を評価することが可能となり、研究結果の信頼性向上に寄与できるものと考えている。
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