研究課題/領域番号 |
16K16452
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
宮本 直美 畿央大学, 健康科学部, 助教 (10733686)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運動強度 / 循環応答 / 換気応答 |
研究実績の概要 |
運動中,エネルギーの多くは有酸素的に賄われるため,酸素供給機能である呼吸・循環は運動強度の増加に伴って速やかに応答する必要がある.しかし,呼吸器疾患患者や循環器疾患患者では,運動中の心拍応答が減少・遅延する症例も多く,予後との関連性も示されている.この要因として,疾患の重症度や合併症の有無が示唆されているが,運動負荷中の循環応答や換気応答を詳細に検討した報告は少なく,標準値も明らかにされていない. そこで,本研究は,(1)健常若年者および健常中高年者に漸増負荷試験を実施し,運動強度に対する呼吸循環応答の標準値を作成すること,(2)慢性閉塞性肺疾患患者および間質性肺疾患患者における運動強度に対する呼吸循環応答を解析し,その特徴を明らかにすると同時に,標準値の臨床的評価としての有用性を検討することを目的としている. 平成28年度は,本研究で運動負荷中の1回心拍出量や心係数を非侵襲的に測定する際に重要な機器となる「非侵襲インピーダンス心拍出量計(Physio Flow Q-Link)」を設備備品として設置した後,健常若年者を対象に自転車エルゴメータによるramp負荷(漸増負荷)試験を実施し,運動強度に対する呼吸循環応答の測定の予備実験を開始した.非侵襲インピーダンス心拍出量計を含め,運動負荷中の呼気ガス分析装置・心電図計・経皮的酸素飽和度計・骨格筋酸素動態測定器・自律神経機能測定器による各評価項目の測定結果を確認した.また,ramp負荷試験のプロトコルについては,研究計画段階では安静座位3分後,ウォーミングアップを10Wで3分間行い,その後は10W/分の漸増負荷としていたが,健常若年者では漸増負荷が軽度となり,運動開始から最大運動負荷までの最適時間(7~17分間)を延長することが考えられたため,現在,ウォーミングアップを1分間,漸増負荷を20W/分で検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は,本研究の1つ目の目的である「健常若年者および健常中高年者に漸増負荷試験を実施し,運動強度に対する呼吸循環応答の標準値を作成すること」に関して,健常若年者を対象として運動負荷試験を実施し,運動負荷中の呼吸循環応答の各評価項目を測定する予定であった.しかし,1回心拍出量や心係数を測定する機器である「非侵襲インピーダンス心拍出量計(Physio Flow Q-Link)」の設備準備や,ramp負荷試験のプロトコルの再検討により,実施計画よりもやや遅れていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策としては,まず再検討中のramp負荷試験のプロトコルを確定し,健常若年者(20歳代)を対象として,運動強度に対する呼吸循環応答の各評価項目の測定を実施する.次に,運動強度に対する呼吸循環応答の20歳代の標準値を検討した後,健常中高年者(50~60歳代)を対象として運動強度に対する呼吸循環応答の各評価項目の測定を進めていく.また同時に,本研究の2つ目の目的である「慢性閉塞性肺疾患患者および間質性肺疾患患者における運動強度に対する呼吸循環応答の特徴を明らかにし,臨床的評価としての有用性を検討すること」に関して,慢性閉塞性肺疾患患者および間質性肺疾患患者において健常中高年者と同様に運動負荷を実施し,運動負荷中の呼吸循環応答の各評価項目を測定・検討できるよう,研究協力が可能な施設と連携を取りながら進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に使用予定であった物品費を予定金額よりも抑えることはできたが,対象者に実施するramp負荷(漸増負荷)試験のプロトコルを再検討中であり,測定に必要な物品費や人件費・謝金などが発生せず使用することができなかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,平成28年度に実施予定であった健常若年者を対象とした測定結果をもとに,健常中高年者を対象に研究を進める予定で申請していたが,まず平成28年度に実施できなかった健常若年者を対象として測定を実施するため,健常若年者の測定に必要な物品費や,人件費・謝金に使用する予定である.
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