研究課題/領域番号 |
16K16453
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
信迫 悟志 畿央大学, 健康科学部, 助教 (50749794)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発達性協調運動障害 / 自閉症スペクトラム障害 / 注意欠如多動性障害 / 抑うつ症状 / 視覚-運動時間的統合機能 / 自動模倣機能 |
研究実績の概要 |
【具体的内容】子ども(4-15歳)の手の運動機能と視覚-運動時間的統合機能との関連性を調査した.結果,年齢の増加に伴い視覚-運動時間的統合機能は向上し,発達変化することが示された.同時に手先が器用になるほど,視覚-運動時間的統合機能は向上することが明らかになった. 【意義】発達性協調運動障害(DCD)のような手の運動機能が低下している子どもでは,視覚-運動時間的統合機能が低下している可能性が示唆された. 【重要性】子どもの手の運動機能と視覚-運動時間的統合機能との関連性を明らかにした初めての研究である. 【具体的内容】DCDの可能性が高い子どもたち(probableDCD群)とその可能性が低い子どもたち(Typical Development群)との間で,視覚-運動時間的統合機能,自動模倣機能,自閉症スペクトラム(ASD)傾向,注意欠如多動性(ADHD)傾向,抑うつ傾向の比較,関連性を調査した.結果,pDCD群は,TD群より,視覚-運動時間的統合機能,自動模倣機能が低下しており,ASD傾向,ADHD傾向,抑うつ傾向が高いことが判明した.また運動機能と視覚-運動時間的統合機能,ASD傾向,ADHD傾向の間には,有意な相関関係が認められた.さらに視覚-運動時間的統合機能は,子どもの手の運動の不器用さを予測する最大の因子であることが判明した. 【意義】この研究から,視覚-運動時間的統合機能や自動模倣機能を高めるニューロリハビリテーション介入が,子どもの手の運動の不器用さの改善に繋がる可能性が示唆された. 【重要性】手の不器用さを持つ子どもたちに視覚-運動時間的統合機能,自動模倣機能が低下していることを明らかにした初めての研究であり,DCDに頻繁に併存するASD,ADHD傾向よりも視覚-運動時間的統合機能が子どもたちの手の運動の不器用さを予測する因子として抽出されたことは重要な発見である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度には,発達性協調運動障害(DCD)と内部モデルの一機能を反映する視覚-運動時間的統合機能,ミラーニューロンシステムの働きを反映する自動模倣機能,そして自閉症スペクトラム傾向,注意欠如多動性傾向,抑うつ症状との関連性を明らかにする計画であったが,その計画はほぼ達成した.対象児リクルートメントおよびデータ計測は,多くの協力機関と密な連絡を取り合い順調に実施できた.測定機器の運用,得られたデータの解析,検討も順調に実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書通りに平成29年度には,バーチャルリアリティトレーニング介入による効果検証を実施する.平成28年度に多くの協力機関と良好な関係を築けており,対象児リクルートメントなどに問題はない状況である.また平成28年度に得られた研究データの公表(学会発表,論文投稿)は引き続き継続し,平成29年度に得られる予定の研究データも速やかに解析,検討し,公表していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や人件費・謝金を予定より圧縮することが可能であった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用予定のバーチャルリアリティトレーニングなど必要な備品購入に使用する.また当該研究の最終年度であるため,得られた研究データの公表(学会発表,論文)に使用する.
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