研究課題/領域番号 |
16K16454
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
末廣 忠延 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90633850)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 腰痛 / 筋活動 / 運動療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、腰痛の予防、治療のために腰痛者の異常な筋活動の改善に焦点を当てた運動療法の構築を図ることである。 腰痛者の筋の活動パターンは、四肢の挙上などでは、明らかにされつつあるが、持ち上げ動作のような機能的な動作では明らかとなっていない。そこで、当該年度では、健常者と再発性腰痛者の持ち上げ動作時の体幹筋の活動パターンの差を調査した。筋活動の測定は、表面筋電計を用い、被験筋を腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊柱起立筋、腰部多裂筋とした。被験者は肩幅に開いた立位となり、測定課題は、光刺激の後にできる限り速く前方に設置している箱を肩屈曲90°まで挙上し保持させた。 結果として、再発性腰痛者では健常者と比較して内腹斜筋、腰部多裂筋の活動が遅延し、腰部脊柱起立筋の過剰な活動が生じることが明らかとなった。また周波数特性には、群間で有意差を認めなかった。 本研究の結果から疼痛が軽減している時期での再発性腰痛者においても、持ち上げ動作で健常者と異なる活動パターンを示すことが明らかとなった。内腹斜筋や腰部多裂筋は、脊椎の分節的な安定性に関与するため、これらの筋の活動遅延は、背椎の安定性を低下に関与する。また脊柱起立筋の過剰な活動は、早期の疲労や背椎の圧迫負荷を増大させる。このことから再発性腰痛者では、機能的な動作においても健常者と異なる活動パターンを示し、更なる腰部損傷の原因となることが示唆された。 今後は、再発性腰痛者で生じる異常な筋の活動パターンを改善させるための運動療法を検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、腰痛者における持ち上げ動作時の筋活動パターンを明らかにすることであったが、これに対して腰痛者では健常者と異なる筋活動パターンが生じることが明らかとなった。当該年度の業績の公表については、平成29年度の学会発表と学術誌への投稿にて実施する予定となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の当初予定では、平成28年度の研究結果で異常を認めた体幹筋の周波数特性の改善に適した訓練を検討することであった。しかし、平成28年度に実施した研究の結果では腰痛者の異常な筋活動パターンは、体幹筋の活動開始時間および活動量に認めたが、周波数特性には認められなかった。したがって、当初計画を修正し、本年度は、平成28年度の研究で、腰痛者で明らかとなった体幹筋の活動遅延や過剰な筋活動の改善に適した訓練を検討することとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の成果発表の場である学術大会が平成29年度に行われるため、その参加費が執行されていない。また学術大会での発表後に論文投稿を検討しているため、投稿にかかる諸費用(英文校正代金、掲載料金等)が執行されていない。
|
次年度使用額の使用計画 |
学会発表および情報収集のための学会参加等の旅費、英語論文作成に関連した英文校正費、被験者に対する謝礼品、データ保存・解析用パソコンの購入に充当する予定である。
|