研究課題/領域番号 |
16K16455
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
高橋 尚 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30612981)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高負荷インターバルトレーニング / 運動療法 / トレッドミル / モリス水迷路試験 |
研究実績の概要 |
平成29年度までに高負荷インターバルトレーニング(HIIT)が下肢筋重量、耐久性、空間記憶能力に及ぼす影響を検討した。HIITは下肢筋力に加えて心肺機能を向上させることが知られている。また、HIITは認知機能の向上と関係の強い脳由来神経栄養因子の発現を増強することが明らかにされている。そこで、ラットに対するHIITが認知機能を向上させるか検討した。実験は2か月間飼育室で飼育したコントロール群(n=9)と、2か月間週3回のHIITを行ったHIIT群(n=9)の2群に分けて行った。ラットに対するHIITは傾斜角度15度のトレッドミルを用いて行った。HIIT時のトレッドミル走行は最大心拍数の80%の速度で2分間、最大心拍数の50%の速度で3分間として、この運動を3回繰り返した。HIITが筋重量に及ぼす影響を評価するために、体重当たりの長趾伸筋重量、ヒラメ筋重量を計測した。また、HIITが耐久性に及ぼす影響を検討するためにトレッドミル走行耐久性試験を行った。さらに、HIITが認知機能に及ぼす影響を検討するために、空間記憶能力を評価することが出来るモリス水迷路試験を行った。長趾伸筋の体重当たり重量はコントロール群とHIIT群間で有意な差はなかった。ヒラメ筋の体重当たり重量はコントロール群0.33±0.03mg/g、HIIT群0.38±0.05mg/gであり、HIIT群で有意に大きかった(p<0.05)。トレッドミル走行耐久性試験の結果はコントロール群1284.6±189.6sec、HIIT群1934.4±17.9secであり、HIIT群で有意に耐久性が向上していた(p<0.05)。モリス水迷路試験の結果はコントロール群とHIIT群間で有意な差はなかった。本研究の結果、HIITによって体重当たりのヒラメ筋重量は増大し耐久性も向上したが、空間記憶が有意に向上することはなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度の実験は終えており、研究成果を第12回国際リハビリテーション医学会で発表予定である。また、発表後早期に論文を投稿する予定である。平成29年度の実験は、実験開始後に実験法の一部を修正する必要が生じたため中断した。これは、実験中ラットにトレッドミル走行を学習させるため先行研究に基づき電気刺激装置を用いたが、電気刺激は不要なストレス刺激となりうると判断し、刺激法の再考が必要となったためである。そして、新しい刺激装置として電気刺激と比較して低ストレスとされているエアポンプ刺激装置を購入する必要が生じたため実験に遅れが生じた。平成30年3月に延長申請が認められており、現在実験遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の実験を中断した原因である刺激装置については、新たにエアポンプ刺激装置を購入したことで対応できている。平成30年3月に延長申請が認められており、現在実験を遂行中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の実験が一時中断したため実験に遅れが生じており、そのために本来支出予定であった物品購入費、学会参加費、論文投稿費の支出がなかったため次年度使用額が生じることとなった。実験が中断した原因に対しては現時点で対応できており、平成29年度の実験は平成30年度内に行う予定である。そのため、今回生じた次年度使用額は平成29年度に使用予定であった用途に使用することになると考える。
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