研究課題/領域番号 |
16K16461
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡橋 さやか 京都大学, 医学研究科, 助教 (20610760)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | リハビリテーション / 福祉機器 / 遠隔医療 / 高次脳機能障害 / 地域 |
研究実績の概要 |
本研究では、疾病発症により退院後も継続したリハビリテーションが必要となった人や、病気を予防している未病の人が、健康管理や心身の活動性維持に関する適切な助言等を得ながら、地域で長く快適に暮らすことを可能とする遠隔支援システム(情報通信機器・サービスを含む)を研究開発する。 本年度は当該研究課題の主テーマ「遠隔医療・遠隔リハビリテーション」に関する現在の国内外の状況について、学術文献や書籍、学会・研修会からの情報等により収集を行い、2年目以降の研究の基盤を構築した。その一環として、「記憶障害をもつ人に対する遠隔リハビリテーションの効果」に関するシステマティック・レビューを行い、リマインダーシステムやウェラブルPC、遠隔によるエラーレス学習の有用性を確認した。この成果については現在執筆中である。 同時に、次年度から開始する臨床研究の基礎として、都道府県の中核的なリハビリテーションセンターの医療・福祉専門職や、大学の工学研究者との連携体制を整えた。その上で、高次脳機能障害者の支援に携わる専門家および当事者に対し、ヒアリングを行った。現存の思い出し支援システムの問題点や、従来のメモ帳などの道具を用いた記憶低下代償訓練における足りない点、また当事者が実際の日常生活や就労場面で求められる内容等について明らかとした。これは、今後の遠隔支援システム開発において重要な観点を与え得るものである。 その他、地域で暮らす人が使用できるツールやトレーニング課題を採用した臨床研究として以下のことを報告した。一つ目は高次脳機能障害者向けの評価・訓練システムとして筆者らがこれまでに開発したVirtual Shopping Testを用いて、難易度と瞬目に着目した研究成果、二つ目は認知課題中の前頭葉血流の変化に着目した研究成果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、初年度として、3年間の研究開発を行う上での情報収集を十分に行い、新たな研究協力者と共に基盤を整えることができた。当初は支援システムについてのアンケートによるニーズ調査を実施予定であったが、患者本人および支援者へのヒアリングという形で実現した。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に学術文献のシステマティック・レビューによって得られた知見、そしてニーズ調査をもとに、今後は高次脳機障害者に対する遠隔支援システムの開発と臨床研究について計画・実践していく予定である。現場の医療・福祉専門職種および当事者へのヒアリングは継続する予定であり、工学研究者や研究協力者との定期的な研究ミーティングにより全体の予定を随時調整して進行させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、アンケート調査における集計・分析協力者への謝金として予定していたが、実施計画の変更により未使用となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に臨床実験を実施する際に、集計・分析協力者への謝金として使用計画に含める予定としている。
|