研究課題
本研究では、疾病発症により退院後も継続したリハビリテーションが必要となった人や、病気を予防している未病の人が、健康管理や心身の活動性維持に関する適切な助言等を得ながら、地域で長く快適に暮らすことを可能とする遠隔支援システム(情報通信機器・サービスを含む)を研究開発する。初年度は、遠隔医療・遠隔リハビリテーションに関する現在の国内外の状況について学術文献や研修会情報等から把握した。これを基盤とし、続く2年目では「記憶障害をもつ人に対する遠隔リハビリテーションの効果」に関する文献レビューを行い、学会発表および原著論文として採択された。同時に、臨床研究の基礎として現場のニーズを知るため、都道府県の中核的なリハビリテーションセンターでの高次脳機能障害者の支援に携わる専門家とともに、円滑な社会復帰を目指す患者さんへのソーシャルスキルトレーニング(SST)の企画・運営に関わり、あわせて支援者や当事者に対しヒアリングを行った。現存の思い出し支援システムの問題点や、従来のメモ帳などの道具を用いた記憶低下代償訓練における足りない点、また当事者が実際の日常生活や就労場面で求められる内容について明らかとし、これを基に新たな開発機器のデザイン設計を行った。これは医療・福祉専門職や工学・情報学研究者との連携体制を築いて進めている。また、地域で暮らす人が日常的に使用できるトレーニングツールとして、これまでに手懸けてきた高次脳機能障害者向けの評価・訓練システムVirtual Shopping Test改良および臨床研究の準備を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、2年目として、3年間の研究開発を行う上で基礎となる学術文献のレビューを論文としてまとめた。医療・福祉専門職や工学・情報学研究者との連携体制を築き、機器開発および改良についても進行している。
開発した機器を用いたフィールドでの実験を実施予定である。情報通信技術を用いたリハビリテーションの利点・欠点について明らかとするよう進めていく。また、研究協力者との定期的な研究ミーティングにより全体の予定を随時調整して進行させる。
臨床評価研究を本年度より次年度に実施予定へ変更となったため、その調査旅費および被験者謝金を次年度に使用する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
ヒューマンインタフェース学会論文誌
巻: 20 ページ: 153-162
10.11184/his.20.2_153
Occupational Therapy International
巻: 2018 ページ: 1-5
10.1155/2018/8019283
Neuropsychology, development, and cognition. Section B, Aging, neuropsychology and cognition
巻: 1 ページ: 1-15
10.1080/13825585.2017.1351916