本研究では、疾病発症により退院後も継続したリハビリテーションが必要となった人や、病気を予防している未病の人が、健康管理や心身の活動性維持に関する適切な助言等を得ながら、地域で長く快適に暮らすことを可能とする遠隔支援システム(情報通信機器・サービスを含む)を研究開発する。 1年目と2年目は、遠隔医療・遠隔リハビリテーションに関する現在の国内外の状況について学術文献や研修会情報等から把握した上で、「記憶障害をもつ人に対する遠隔リハビリテーションの効果」に関する文献レビューを行い、報告した。また、現場ニーズを知るために、中核的なリハビリテーションセンターでの高次脳機能障害者の支援に携わる専門家とともに、円滑な社会復帰を目指す患者さんへのソーシャルスキルトレーニング(SST)の実施と支援者・当事者に対するヒアリングを行った。従来のメモ帳などの道具を用いた記憶障害への代償訓練における足りない点や、当事者が実際の日常生活や就労場面で求められる内容について明らかとし、ここから新たな開発機器をデザインした。 具体的な一つは、ある特定の物事の記憶を定着させるためのSpaced Retrieval Trainingを実現するゲーム課題である。その他、高次脳機能障害リハビリテーション用としてのVR買い物タスク およびAR買い物タスクがある。いずれも利便性の高いタブレット端末を用いて行うことができ、webを介して遠隔からもデータ記録・成績管理ができる仕様となっている。これらを用いた予備実験の成果は国内学術学会で発表し、最新の進捗についても報告予定が確定している。
|