研究課題/領域番号 |
16K16465
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研究機関 | 日本医療科学大学 |
研究代表者 |
大矢 哲也 日本医療科学大学, 保健医療学部, 講師 (60514247)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 視線入力 / 符号化入力方式 / アクセシビリティ機器 |
研究実績の概要 |
本研究は重度肢体不自由者における視線入力を用いた意思伝達支援装置の開発を目的としている.他の障害者と同様に可能な限り自立生活を送ることや,社会参加などに対する願望が強い.また,障害者自身による機器操作が必要となり,病状の進行に影響を受けない残存機能を用いた操作手段が必要となる.眼球運動は病状末期においても機能低下が少なく,技術的確立がなされれば普及が可能である.視線入力では直接入力方式を用いることが多く,50音の中から目的の文字を注視することで,文字が選択される.したがって,選択項目が小さくなり,高い精度の視線入力が要求される.一方,符号化入力方式では表示する選択項目を大きく表示することが可能である.しかし,符号化入力方式では符号を覚える必要があり,事前に学習や訓練する必要がある.そのため,直感的に利用することができず,直接入力方式が主流となっている.しかし,符号化入力方式では,入力動作一回あたりの入力bit数を上げることができ,操作に十分慣れた重度肢体不自由者であれば,入力方式として有効な方式となる.また,表示項目を大きくすることが可能であり,入力成功率などの向上が考えられ,誤入力,誤操作を低減することが可能であると考える.そこで本研究は符号化入力を用いた視線入力の検討を行った.その結果,符号化入力方式は直接入力方式と比較し文字の入力速度は低下するが,項目選択の精度は高いことが確認された.また,十分なキャリブレーションを実施せずとも利用することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年次においては符号化入力の入力に関する問題点を解決することを目的としていた.符号化入力方式においては符号を記憶する必要がある.したがって,重度肢体不自由者が符号化を新たに学習し,利用するまでは多くの時間が必要であると考えられる.そのため,符号化入力を支援するシステムの検討が必要である.次にどのような符号を入力することでどのような文字が入力されるか,など予測機能を検討する必要が考えれられる.本研究では次にどのような符号を入力するとどんな文字が入力されるかを入力項目上に表示することで,ある程度の知識を身につけた方が利用しやすい用に検討を行っている.そのため,おおむね順調に進展していると考えられる.しかし,予測機能の表示方法など検討する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については以下のように進める. 1.視線入力を用いた符号化入力方式によるアクセシビリティ機器の構築:平成29年度までの結果を受け,視線入力を用いた符号化入力方式によるアクセシビリティ機器の構築を行う.ここでは問題点を解決し,実用に適したアクセシビリティ機器の提案を行う. 2.アクセシビリティ機器のフィールド実験:実際に構築をしたアクセシビリティ機器を用いたフィールド実験を行う.実験では家族や介護者に意思伝達を行う実験を実施する.実験を実施する際には,ALS患者の体調維持を十分に考慮する.符号化入力方式による意思伝達支援のフィールド実験を行う.また,患者の個人差や病状の進行により入力成功率や入力に要する時間が異なることも考えられるため,それらに対応する手法を確立することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度と同様に視線入力装置における周辺機器が計上時と比較し安価なパーツにて対応することが可能であったため.また,作成する電子回路においても同様に安価なパーツにて対応したため.性能に関して大きな差が無く,問題なく利用できているため,計上時と差異が生じている.
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