本研究は、パーキンソン病患者の「歩行中のすくみ足」に、上肢のタッピングによる自発的リズム運動(内的リズム運動)訓練がもたらす効果について実験的に調べ、脳内のリズム形成障害とすくみ足の関係を運動学的分析と脳科学的分析手法を用いて解明することが目的である。 4年次(平成31年度)は、高齢者13名と若年者15名に対して内的リズム課題の学習効果を検討した結果を5月にスイスで行われた国際学会(World Confederation for Physical Therapy)で発表することができた。そこではセレクション演題としても選出され、口述での発表の場も得ることができた。 11月には、高齢者、パーキンソン病患者の結果をまとめ、第43回日本高次脳機能障害学会学術総会にて、ワークショップの演者として選ばれ、「パーキンソン病患者のすくみ足における内的リズム形成障害と遂行機能の関連」というテーマで発表することができた。さらにその後、その発表に関する論文を同学会の雑誌に投稿した(掲載予定)。 まだ投稿できていないデータや検討を要するデータなどもあり、十分に研究成果を発表できたとまでは行かなかったが、4年次にいくつかの成果を発表できたことは大きな収穫であった。4年次に発表を行えたことで、本研究で行った介入方法は予防において効果を発揮しそうだということがわかり、今後は予防的な側面に目を向ける、集団に対して長期的に介入するなど次の研究に活かせる着眼点を得ることができた。
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