研究実績の概要 |
計画2年目である本年度の主な研究実績は、以下4つであった。1) 音楽リズムの知覚生成能力の個人差を評価するテスト「ハーバードビート評価テスト(Harvard Beat Assessment Test: HBAT)」のiOSアプリケーションの開発に取り組んだ。iOSアプリのβ版を開発し、取得データの妥当性について検証した結果を情報処理学会第80回全国大会にて発表した(今野&藤井, 2018)。2) 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室MTRラボと共同で、健常者と統合失調症患者を対象にHBATを実施し、臨床症状評価と脳波計測、核磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging: MRI)計測を行った。得られたデータで統合失調症患者のHBATスコアと臨床症状評価スコアの関係について調べたところ、音楽リズム知覚生成能力の低下度と統合失調症臨床症状の重症度の間に関連性がある可能性を見出し、第13回日本統合失調症学会にて発表した(本多ら, 越智ら, 加藤ら, 2018)。3) ハーバード大学と共同研究を行い、健常人を対象にHBATとMRI計測を実施し、Voxel Based Morphometry(VBM)の手法を用いて、HBATスコアと脳灰白質信号強度の相関分析を行った。実験の結果として、小脳の灰白質強度の個人差とHBATスコアの個人差の間に関連性があることを見出し、得られた結果をNeuroImage誌上に発表した(Paquette, Fujii, Li, & Schlaug, 2017)。4)トロント大学サニーブルック研究所と共同で、音楽聴取が視覚運動回転変換課題の学習プロセスに及ぼす影響を調査し、NeuroMusic学会にて発表した(Fujii et al., 2017)。
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