動機付けに関する研究では、他者から勧められた行動(例えば、有酸素運動を継続的に実施するという行動)を自分の行動として受け入れる初期段階では「有能感」を感じる事が必要であり、有能感を感じる事により行動の動機付けが高まると考えられている。この理論を基にすると、運動習慣のない人のトレーニングの初期段階において有酸素運動の効果を客観的にも主観的にも実感させる事のできる支援(運動効果の測定・評価・フィードバック)は、運動への有能感を高め、有酸素運動の継続性を高める事ができる可能性があると考えられる。そこで、運動習慣のない人でも実施可能な運動強度・時間・頻度による短期間の持久性トレーニングによる運動時の主観的な身体的負荷度の変化や全身の酸素摂取量と筋内酸素動態に与える影響について明らかにする事を研究の目的として、平成29年度においては、前年度の実験結果を踏まえ、安静時の姿勢をエルゴメーター上での膝の位置を指定した方法に限定し、日頃自転車エルゴメーターでのトレーニングを行なっていない健康成人男性を被験者に、50% HR reserveの運動強度での30分間の自転車エルゴメーターによる3回の持久性トレーニングが運動開始後からの酸素摂取量や筋内酸素動態、及び主観的な身体的負荷度の変化に与える影響を検討した。 実験の結果、50% HR reserveの運動強度での3回という短期間の持久性トレーニングでも、運動中の主観的身体的負荷度が低下する事が明らかとなった。一方で、全身の酸素摂取量と筋内酸素動態には変化は認められなかった。本研究で測定した50% HR reserveの運動強度中の全身の酸素摂取量と筋内酸素動態については、今後様々なパラメーターを用いて検討する予定である。さらにこれらの研究の成果を取りまとめて研究成果を報告する予定である。
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