研究実績の概要 |
集団競技のチームづくりにおいて、集団の中の力動的な関係性に注目する必要が指摘されているが (Yukelson, 1997)、この点に取り組んだ研究は少ない。本研究者はこの点からチームに対しグループ箱庭 (岡田, 1991)を用い、チーム内の力動的な関係性を活性化するとともに競技力向上を確認した (江田ほか, 2012; 江田ほか, 2013)。グループ箱庭は専門的な知識やトレーニングや箱庭がなければ実施できないため、特別な環境が必要である (岡田, 1991; 中込ほか, 2008)。中高生の部活動など、限られた条件の中でチーム内の関係性の活性化を必要とする場合には、この方法を用いることが難しい。そこで本研究では、グループ箱庭で選手が体験できるような集団のダイナミクスを活性化させる要素を含んだメンタルトレーニングプログラムを構築し、その効果を確認することを目的とした。 本研究では、我が国で開発されたイメージを用いたグループワークの1つであるファンタジーグループ (樋口, 2000)およびグループ箱庭療法 (岡田, 1991)を元に介入プログラムを構成し、3年間に渡り、介入を実施した。その結果、2年目までは大きな競技力の向上は認められなかったものの、チーム内の力動的な関係性が賦活化され、言語的、非言語的なコミュニケーションが活性化されるとともに、競技場面でも連携プレーが見受けられるようになった。そして、3年目には大きな競技力の向上を果たした。最終年度である本年度はこれまでのデータの整理およびまとめを行い、投稿に向けて準備を行った。
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