研究課題/領域番号 |
16K16510
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
廣川 暢一 筑波大学, システム情報系, 助教 (60746303)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウェアラブルセンサ / 運動学習支援 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,前年度に開発した着用型センサスーツの計測性能に関する評価実験をまとめたものを国内学会等で発表するとともに,基盤技術及びアプリケーション手法に関する特許の出願を行なった.これにより,研究期間満了後の社会実装・事業化への足がかりができたと言える.また,筑波大学体育系との連携体制を強化するとともに,前年度の予備実験を発展させた被験者実験を実施し,泳者への実時間情報フィードバックに重要な運動状態のオンライン推定のためのアルゴリズムの開発及び性能評価を行なった.ここでは,複数名の実験参加者に開発したスーツを着用して運動計測を行い,人間の判定者が判定した教示データを用いる機械学習手法によりストロークの位相情報をリアルタイムに推定するアルゴリズムを考案した.その結果,提案手法によりストロークの位相情報を高い精度で推定できることや,学習データの被験者間での汎用性に関する知見も得られた. また,着用者への音響フィードバックのためのデバイスの改良も実施しており,センサ部に音響信号生成回路及びマイクロフォン用インタフェースを追加することで,単体の組み込みデバイスにより運動計測・解析・音響変換・フィードバック提示が実現できる見込みとなった.さらに,開発したデバイスと連携するスマートフォンアプリの開発も並行して行なっており,データの計測や取得したデータの分析をスムーズに行うための環境が整いつつある.これにより,音響信号を用いた実時間フィードバックによる水泳の運動学習への影響を調査するための実験の準備が整ったと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は,開発した着用型センサスーツによる実時間音響フィードバック手法が,学習者の運動技能向上に及ぼす影響を調査する被験者実験まで実施する予定であったが,特許出願に関する手続きやデバイスと連携するスマートフォンアプリの開発の遅れの影響で被験者実験は平成30年度にずれ込むこととなった.しかしながら,実験実施のための準備は概ね完了しているため,当初計画していた介入期間や被験者数を修正するなどして30年度の前半に完了することで,残りの期間で他動的動作教示手法の開発及び検証することを計画している.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,年度の早い段階で音響フィードバックによる学習効果の検証実験を実施するとともに,成果をまとめたものを対外的に逐次発表していく.並行して他動的動作教示を実現するためのデバイスの改良を行なっていく.しかしながら,本年度に生じた遅れにより,他動的動作教示手法による中長期的な被験者実験は実施が困難になることが予想されることから,被験者数や介入期間の縮減等,実験プロトコルの修正を必要に応じて検討する.
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