本年度は,本研究課題による成果の新しい展開として,昨年度までに開発した水中における全身協調運動を計測する着用型センサスーツおよびそれによる実時間フィードバック技術の実応用に関する検討や,研究成果のアウトリーチ活動を主に行なった.その過程において,本システムの想定するユーザである水泳競技者や指導者,およびスイミングスクールのユーザー等へのヒアリングを行った.その結果,開発中のシステムを用いたトレーニング手法の効果や,学習者のパフォーマンスデータの管理方法について好意的な評価を得られたとともに,センサスーツの装着性やユーザーインタフェースの改善に資するフィードバックを得ることができた. また,開発したスーツによる水泳のストローク位相を推定するためのアルゴリズムの改良も行い,機械学習手法に基づくアルゴリズムによる精度向上を図った.また,より計算性能の高いマイクロコントローラを採用した新しい制御基板の設計と製作も行なった.これにより,将来的により複雑なアルゴリズムの実装や,計測箇所の増加に伴う計算コストの増大にも対応することが可能となる.さらには,計測したデータをリアルタイムに音響変換しフィードバックするアルゴリズムも実装された. 上記の研究成果のアウトリーチ活動としては,世界中の主要な大学や研究機関関係者に読まれる英国の雑誌「IMPACT」に本研究の内容が掲載されるとともに,日本科学技術振興機構による社会還元加速プログラム「SCORE」にも採択され,本課題で開発した技術の社会実装としての事業化についての検討も行った.
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