本研究は、19世紀にゴールドラッシュが生じ、多くの移民をひきつけたオーストラリアのヴィクトリア州とニュージーランドのオタゴ州に着目し、そこで行われたアイルランド移民のスポーツ活動を明らかにした。19世紀半ば、これらの地域では、祝祭日の催しの一つとして、アイルランドの民族的な身体的娯楽であるハーリングを行っていた。やがて、ハーリングをプレーするクラブが設立され、競技会が開催される。このように、イギリスの植民地において、アイルランド移民がイギリス近代スポーツの様式を取り入れ、独自の身体的娯楽を近代スポーツ化する様相がみられた。
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