本研究は、動作遂行時の予測不可状況での身体運動中の神経筋活動のトレーナビリティーを明らかにすることを目的とする。この目的を達成するために、ドロップジャンプを用いて、身体が台から落下中に、対象者の前方にジャンプ(上矢印)か、ランディング(下矢印)かを示す矢印を提示した。その際に、予め表示される矢印を対象者に伝えた条件(予測可能条件)と、表示される矢印を伝えない条件(予測不可条件)で行った。課題動作中に、床反力、体幹および下肢筋群の筋活動量を計測した。得られた知見は、(1)予測不可条件時のドロップジャンプパフォーマンスの変数は、予測可能条件よりも低下する。(2)予測不可条件時の筋活動水準は、予測可能条件よりも減弱するが、その程度は筋によって異なる。(3)条件間での筋活動水準の低下は、パフォーマンスの変化率と関連する。(4)予測不可条件下で習慣的に運動を行っている者は、予測不可条件下での筋活動水準の低下が低い傾向にある。以上のことから、予測不可条件では、神経筋活動が低下し、その結果、パフォーマンスが減弱するが、それは習慣的な運動によって改善する可能性が示唆された。本研究の結果は、球技スポーツのようなボールや相手選手の動き応答してリアクションする際のパフォーマンス向上に寄与する基礎的資料となる。
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