研究課題/領域番号 |
16K16543
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
松倉 啓太 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助教 (80648676)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ダイビング / ゴールキーパー / サッカー / 地面反力 / 関節トルク |
研究実績の概要 |
本研究では、サッカーのゴールキーパー(GK)のダイビング動作を対象に,(1)ボールの高さ,距離の違いに伴う,地面反力と下肢の関節トルク,関節角速度,重心移動を比較検討し,ダイビング技術の力発揮メカニズムを分析する.(2)また多くの実験設定で用いられる静止球へのダイビングと実際に飛来してくるボールへのダイビング動作における違いを明らかにすることで,競技場面及びGK初心者の導入段階におけるコーチングへの示唆を得ること.(3)さらに「より早く」,「より遠く」へダイビングを行うために必要とされる要素を抽出し,青少年代GKの競技レベルの向上ならびに指導メソッドの発展に貢献することが研究の目的である. サブテーマ(1)に関しては,①それぞれの脚が発揮した地面反力の合成ベクトルを分析したところ,ダイビング方向側の脚において,ベクトルの大きさだけでなく,角度も調節していること ②踏切局面のうち,ダイビング方向側の脚では離地にかけて,ボールへの距離によって大きく貢献する部位が異なり,GKから近い距離へのダイビングでは股関節,遠い距離へのダイビングでは足関節による貢献が大きく,各部位による貢献の仕方が異なるということが明らかになった.これらの結果は28年10月に国際論文として『Journal of sports sciences』へ投稿したが,29年2月に掲載不可の審査となったため,引き続き加筆修正を行い,再投稿の準備を進めている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ(2),(3)については,29年2月に実際に飛来してくるボールへの動作を分析とするため,キックマシーンを用いてボールを発射させ,そのボールに対してGKがダイビングする様子を三次元動作分析装置とフォースプラットフォームを用いて測定した. 当初の予定から変更した点として,キックマシーンとGKとの距離を20mから8mに短縮した.これはGKが実際の試合で素早いダイビングを求められるシチュエーションが,ペナルティエリア内からの相手シュートを防御する際に多くみられるためである.したがってこの変更によって,実際にGKが対面するであろう場面を再現した形で実験を行うことが出来たと考える. なお,本実験の結果の一部は5月31日からのWORLD CONFERENCE ON SCIENCE & SOCCER(フランス・レンヌで開催)において口頭発表の予定である.
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今後の研究の推進方策 |
サブテーマ(2)については静止球と飛来球に対するダイビング動作を比較検討し,これまでの実験設定に対しての検証とGK初心者へのトレーニング手段としての静止球へのダイビングの効果を検証する. サブテーマ(3)については①同じ位置に異なるスピード②異なる位置に同じスピードで発射されたボールへのダイビング動作を比較検討する.運動方程式によって鉛直方向、水平方向の重心加速にはどちらの脚のどのトルクがどれだけ貢献しているかを分析する. なお、これら結果は年内に学会発表ならびに論文として投稿を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,「スポーツコーチングカム」を2台購入予定であったが,実験においてデジタルビデオカメラでの撮影が可能であったため,単価の低いデジタルビデオカメラ等の購入となったため,当初の予定金額よりも下回ったため次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については,当初予定していなかったが7月31日よりイギリス・リバプールにて開催される『The 11th ICCE Global Coach Conference 2017』に参加し,情報収集を行う予定であるため,当初の29年度請求と合わせて執行する.
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