研究課題/領域番号 |
16K16546
|
研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
樋口 貴俊 福岡工業大学, 社会環境学部, 助教 (60726826)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 運動技能 / トレーニング / バッティング / 野球 / バーチャルリアリティ |
研究実績の概要 |
野球打者は対戦投手の様々な球種やコースの投球を見極め、高速度のバットスイングで正確にボールを捉えなければ高い打撃成功率を維持することはできない。しかし未だ、打者の優劣を決定する詳細な能力についてはほとんど明らかになっておらず、効率良く打撃パフォーマンスを向上させる練習方法は明らかではない。そこで本研究では、実験室内において実戦同様の投球を体験できる仮想システムを使用し、バットスイング中の野球打者の脳波及び視線、動作を計測し、実戦的な投球条件下での打撃成功に関わる打者の視認・認知戦略とバットスイング動作を解明することで野球や他の打球スポーツにおける技能向上に役立つ知見の提供を目指す。 平成29年度は、仮想空間上に再現した投球の視認動作を測定するための視線カメラ内蔵ヘッドマウントディスプレイと頭部および視線の位置解析プログラムを作成した。従来まで使用していたヘッドマウントディスプレイよりもサンプリング頻度と解像度に高いディスプレイを導入するこで、より上質なデータ収集が可能となった。解析プログラムについては、算出角度の書き出しだけでなく、使用者に対する視覚的即時フィードバックも可能な仕様にすることで、トレーニングシステムとしての有用性をさらに向上することができた。他にも、仮想空間のリアリティを高めるために、人や道具、スタジアムのグラフィックの改善も行った。これらのシステムを用いて、大学野球選手を対象として、異なる球種に対する打者の視線計測および解析を開始した。実験では、実験条件の統制をとるために、普段の練習および体力トレーニングのボリュームに大きな変化が生じないように実験参加者が練習場以外の場所でも一定量の運動が行えるように環境整備にも取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を計画した当初の課題および目的はほぼ達成できている。一方で、当初は計画していなかった、打者がスイングするバットのトラッキングシステムの開発やスイング情報のフィードバックシステムのなどについても、大学及び企業との共同研究を進めるなかで発案・開発着手に至り、より大きな研究成果が得られることが期待される。次年度は研究結果の精査、特許申請および学会論文等での公表に取り組む予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は研究結果の精査、特許申請および学会論文等での公表に取り組む予定である。また、アウトリーチ活動として視線計測システムで見ることができる投球・投手等のデータを増やし、様々な野球体験を提供できるように仮想空間で表示するグラフィック作成にも取り組む。他にも仮想野球空間とヘッドマウントディスプレイを用いた新たなスポーツトレーニングシステムの考案にも取り組む予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究結果の更なる解析と精査、そしてアウトリーチを進めるための費用として次年度使用額を計上した。
|