研究課題/領域番号 |
16K16547
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
佐野 加奈絵 大阪体育大学, 体育学部, 助手 (30762273)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 競泳選手 / ドルフィンキック / 超音波 / 骨格筋 / 弾性エネルギー |
研究実績の概要 |
高い運動効率を生み出す身体運動には,接地時の衝撃を弾性エネルギーとして利用する筋腱相互作用が重要な役割を果たすことが知られているが,接地衝撃がほとんどない泳運動では,高い運動効率やパワー発揮を可能とする筋腱の機能的特徴や水泳選手特有の形態的特徴について明らかにされていない.本研究では,接地衝撃のほとんどない泳運動中の筋腱動態と筋活動,力発揮の同時測定の方法を確立し,競泳選手の高い運動効率やパワー発揮を可能とする水泳特有の骨格筋の制御機序とその骨格筋の形態的特徴について明らかにすることを目的とした.平成28年度では,競泳選手や一般人を対象として,下肢の形態測定,および力学的機能特性測定を実施した.また,筋活動測定用ワイヤレス筋電センサと,ワイヤレスモーションセンサによって泳中の動作解析ができる同時測定システムを開発し,その測定システムの検証を行った.これまで,走・跳運動で行ってきた非侵襲性の超音波装置を用いた筋腱動態の測定方法へ特殊加工を施し,特殊な環境下における身体運動中の筋腱動態と筋活動,動作の同時測定可能な方法の確立に至った.さらに,平成28年度には,数名の被験者に協力を仰ぐことができ,泳運動中の筋活動と筋動態の測定を行った.平成28年度は,これらのデータを基に,学会発表と,2本の論文を執筆,その内1本は投稿中である.引き続き,平成29年度も泳運動中の筋活動と筋腱動態,動作分析の同時測定の追加測定を行うとともに,超音波エラストグラフィ(筋硬度測定)を用いた筋の力発揮動態測定を確立し、測定を実施していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,競泳選手の下肢の骨格・筋腱の形態的特徴について明らかにすること,競泳選手特有の筋腱動態と筋活動の特徴について明らかにすることを目的とし,その方法の確立とその検証を中心に取り組んできた.平成28年度中に,競泳選手とそのコントロール群の下肢の骨格・筋腱の形態測定と,泳運動中の筋腱動態と筋活動の測定を順調に実施することができた.データをまとめ,これらの研究成果は,国際学術誌へ投稿する準備を進めており,平成28年度に国内・外での学会発表も行っている.以上のことから,当初の計画以上に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は引き続き、筋腱動態の追加測定を実施する.また,エラストグラフィーを用いた力発揮動態の測定方法の確立と検証を行い,対象者に協力を仰いで測定を実施していく.これらのデータも平成29年度中にまとめ,国際学術誌へ投稿し,国内・外での学会発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に使用予定だった論文投稿費用を,平成29年度に使用するため繰り越すこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に実施する追加測定データをまとめ上げ,国際雑誌へ投稿する.その際に必要な経費として使用する計画である.
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