研究課題/領域番号 |
16K16554
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
丸山 啓史 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 講師 (70708651)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コーチング学 / サッカー / ゴールキーパー |
研究実績の概要 |
H28年度は本研究費にて購入した統計ソフトウェアを活用し、現在のサッカー育成年代ゴールキーパの戦術的思考能力やコーチング能力に形成に深く関与していると考えられる、育成年代(U-12)ゴールキーパートレーニングの問題点、改善点を明らかとした論文(査読付)を発表した。特に、広島地区の育成年代サッカー選手については、日常的に実施されている、または日本サッカー協会が推奨するトレーニングでは、フィールドプレーヤーとしてのパスやドリブルのスキル、戦術的思考能力は改善されるが、ゴールキーパー好意度の改善やゴールキーパの希望者の拡大という点で不十分である可能性が示唆された。この結果は、今後育成年代ゴールキーパーの「コーチング能力」形成過程を分析、考察する上で有用な材料になると考えられる。 また、U-12年代サッカーゲーム(8人制)のゲーム映像データとゲームに出場していたゴールキーパー20人(10チーム)の音声(ゲーム中の指示)データを採取した。ゲームで採用したコートの広さは、縦68m×横46mであり、正規の8人制サッカーコーとと比較すると横幅が4m短いコートであった。映像データはコート全体を定点カメラで撮影した。音声データはミニICレコーダーをゴールキーパー選手の首元後方に取り付け音声を採取した。採取したデータは10チーム、12試合であったが、実力が拮抗したゲームのデータを採用するため、最終ゲーム結果が3点差以内のゲームを採用データとした。現在、映像データと音声データを同期し、テキストマイニング手法を主体に採取した音声データ(ゴールキーパーのコーチング)の分析を進めている。分析したデータはH29年度学会、投稿論文で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初のH28年度の研究実施計画では、ドイツ(ケルン)にて当地のゴールキーパー指導者を対象にゴールキーパーの戦術的思考能力やコーチング能力に関わる面接調査を実施する予定であった。また、サンフレッチェ広島(J1チーム)下部組織に所属する育成年代ゴールキーパー指導者にも同様の面接調査を実施する予定であったが、研究者本人と対象者のスケジュール調整が難航し、実現にいたらなかった。代わりに、H29年度に実施予定であったU-12年代ゴールキーパーがゲーム中に展開する指示の実態調査をH28年度に実施することができたが、対外的結果を発表できる段階に至ってはいない。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度に実施できなかった、サンフレッチェ広島(J1チーム)下部組織に所属する育成年代ゴールキーパー指導者を対象に、各年代において習得すべき戦術的思考能力やコーチング能力の現状と理想を把握するための面接調査を行う。同様の目的で、ドイツ(ケルン地方)を訪問し、当地のゴールキーパー指導者を対象に面接調査ならびに、ゴールキーパー育成に関わる資料収集を実施する。 また、ゴールキーパーがゲーム中に展開する指示の実態調査では、対象年代をU-15とし、中学生年代と小学生年代の比較分析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定ではH28年度にドイツ(ケルン地方)へ赴いて、当地のゴールキーパー指導者への面接調査やゴールキーパー指導に関わる資料収集を実施する予定であった。また、サンフレッチェ広島下部組織の育成年代ゴールキーパー指導者を対象とした面接調査も実施する予定であったが、双方ともにスケジュール調整が難航し、実現に至らなかった。したがって、当初旅費として計上していた予算を使用するに至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度に実施できなかったサンフレッチェ広島、ドイツ(ケルン地方)のゴールキーパー指導者を対象とした面接調査をH29年度実施することで、生じた次年度使用額を使用する。なお、H29年度に実施予定であった「U-12年代ゴールキーパーがゲーム中に展開する指示の実態調査」はH28年度にデータ収集を実施している。
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