研究課題/領域番号 |
16K16557
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
山下 大地 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 研究員 (00734815)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 方向転換 / 倒立振子モデル / 身体重心 / 移動運動 |
研究実績の概要 |
球技などで攻撃者が頻繁に用いる方向転換動作において、方向転換角度を調節するためには前方および側方の速度を制御しなければならない。ヒトの歩行や走行などの移動運動は身体重心と接地足で構成される倒立振子(またはバネ)でモデル化することができる。当該年度は同様の概念を方向転換走に適用し、球技選手を対象にさまざまな角度の方向転換走を実施し、方向転換角度の獲得メカニズムについて、身体重心―接地足の前後・左右位置および距離(下肢長に相当する)関係を検討することを目的とした。 8名の球技経験男性を対象に、助走速度(4 m/s)での方向転換走(0度、15度、30度、45度)をそれぞれ4試行行った。右足をフォースプレート上に接地して左に方向転換を行い、方向転換の前後は速度を維持するように教示した。助走区間に光電管を設置し、助走速度を統制した。被験者の全身49か所に反射マーカーを貼付し、3次元動作解析システムおよびフォースプレートによって身体各部位の位置座標および地面反力を取得た。 結果、方向転換角度の増大に伴って身体重心に対してより側方に、前方に接地するようになることが明らかとなった。また方向転換角度の増大に伴って身体重心が低い位置で接地するようになった。接地中の振子長(身体重心と接地位置の距離)は直線走を含むどの角度条件でも同様に短縮―伸張の様相がみられ、接地時、離地時ともに角度条件間で違いがみられず、また振子長の最小値も角度条件間で違いがみられなかった。 本実験により、方向転換角度の違いよってより側方に、前方に接地するようになるが、振子長はどの角度条件も直線走と変わらない事が明らかとなった。つまり方向転換角度によらず、接地中の下肢の屈曲―伸展の振る舞いは同様であり、方向転換には高さを含めた重心に対する接地位置の調節が大きく貢献していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は本務の長期海外出張等により十分な実験を行うことができず、延長申請を行った。最終目的である、急激な方向転換のための下肢の振る舞いについては計画した順序通り着実に明らかにすることができている。
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今後の研究の推進方策 |
データ取得に関して遅れているため、研究期間の延長申請を行った。助走速度を変化させた条件は完了できていないため、まず助走速度の違いによる方向転換走の実験を行う。また倒立振子モデルの検討は開始できているため、分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
期間延長に至った通り、本務の海外長期出張が複数回あり実験を行えなかったため。今年度は最終年度であるため、実験を行うための人件費および謝金を計上する。また論文としてまとめるための英文校正費、投稿料を計上する。
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