これまで低強度運動が海馬神経新生を高め、記憶能を向上させることを報告してきた。近年、海馬、特に腹側部は情動やストレス反応の調節も担うことから、抗うつなどの運動効果でも海馬は重要な役割を果たすことが想定される。とりわけ、運動による一過性ストレスへの対処能向上のメカニズム解明は、慢性的なストレスが原因とされるうつ病などを予防する上でも有用な知見となる。そこで、本研究では低強度運動で高まるストレス耐性の神経基盤について検証した。その結果、習慣的な低強度運動は一過性のストレスによる認知機能の低下を防ぎ、その神経基盤として、海馬腹側部の遺伝子発現応答を高めていることが示唆された。
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