研究課題/領域番号 |
16K16569
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
粕山 達也 健康科学大学, 健康科学部, 准教授 (40631867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 幼児教育 / 発達運動学 / 予防医学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小学生における基本的運動能力の運動学的特徴から運動器スポーツ障害の発症パターンを抽出するとともに、障害が動作に与える影響を縦断的に調査し、成長期障害予防戦略の一助とすることである。 本年度も昨年度から継続して、小学校2校計208名に対して走動作(50m走)、跳動作(立ち幅跳び)、投動作(ソフトボール投げ)の動作分析を実施した。本課題研究前からの継続的な縦断研究によって1年生から6年生までの走・跳・投動作のデータを調査することが可能であった。 走・跳・投動作の中で、投動作は最も成熟が遅い動作であり、成熟に要する運動パターンが多様であることが明らかになった。縦断的に得られた小学1年生の投動作のパターンは測定可能な76名で23通りの投動作パターンが獲得されるが、学年が上がるにつれて動作パターンの多様性はなくなり、共通のいくつかのパターンに収束されることが明らかになった。また、性差については小学1年の段階では差は認められないが、2年生以降で性差が生じ、その後はずっと男女において投動作の差は続いていた。また、投動作の中でも成熟しにくい動作として、肩関節の水平外転動作および体幹の回旋動作が挙げられた。 また、小学校低学年児の運動能力は高学年以降も持越し効果が確認され、特に低学年児に走能力と体幹機能が優れている児童は高学年児の運動能力全体が優れていることが明らかになった。縦断的調査によって、低学年児の運動能力がその後の運動能力や生活習慣に影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学校教員異動及び学校行事の都合により、測定を実施していた対象校の協力が得られず対象者数が減少した。 しかしながら、継続して測定可能な対象校においては走・跳・投動作の測定が可能な状態であり、順調に調査が行えている。障害発生状況に関しては、年間での障害発生者が当初の予定よりも少なくなっているため、障害と動作との関係については十分な検討が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
小学校における基本的動作の縦断的な測定に関しては、本年度も継続して測定可能な状態である。障害発生状況は当初の予定よりも少なくなっているため、他の研究を参照に障害発生関連動作と運動発達に関連する動作の関連について調査を並行して行う。具体的には、投球障害を有する選手の投動作の特徴と運動発達が未熟な児童の投動作の特徴を比較して、運動発達が未熟なことで起こる動作が障害を有する選手の特徴と類似するかを検討していく。 また、昨年度から行っている成長期に伴う運動課題と認知課題の二重課題の影響についても引き続き調査していく。小学校低学年の10歳ごろまでに基本的運動(走・跳・投動作など)は自動化され、その後に認知処理が向上していくことが明らかにされているが、縦断的研究は行われていないため、同時並行で調査していく。
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