研究課題/領域番号 |
16K16573
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
片岡 千恵 筑波大学, 体育系, 助教 (30642524)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 青少年危険行動 / 規範意識 / 授業 / 高校生 |
研究実績の概要 |
本研究は,高校生の現代的な健康課題の一つとして指摘されている危険行動の防止に向けて,規範意識の育成に焦点を当てた授業モデルを開発することを目的としている。そのために1年目の平成28年度には,規範意識の育成に重要となる教育の方法および教材について文献的に検討し,危険行動の防止における規範意識の育成を目指した授業モデルを構想した。英国の「Personal, Social and Health Education(PSHE)」の教科書等を分析し,規範意識の育成においては,規範の存在や意義を知識として教えることに留まるのではなく,思考を促し,規範を批判的に検討する学習を仕組むような視点が重要であることが見いだされた。他方で,規範意識に注目した危険行動防止のためのアプローチを考える上では,「地域社会」,「学校」,「家庭」,「友人関係」といった,青少年が日常生活において帰属する重要な場あるいは状況によって,それぞれ規範が異なることを考慮する必要がある。研究代表者がこれまでに取り組んできた危険行動研究の成果も踏まえながら,本研究では「学校に関わる規範意識」の育成を目指した「飲酒防止」のための授業モデルを構想した。これは,高校の保健教育として実践する2時間構成の授業である。本授業では,高校生がそれまでに習得してきた危険行動の健康影響や危険行動を助長する心理社会的要因等の知識を基にしながら,危険行動に関わる規範についてグループディスカッション等の学習活動を通して思考を深められるような展開とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青少年の規範意識の育成において重要となる教育の方法および教材の文献的検討から得られた知見をもとに,危険行動防止のための授業モデルを構想するなど,おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の平成29年度には,構想した授業モデルの介入評価およびそのデータ分析を行う。まず,介入評価の準備として,質問紙法による事前調査および事後調査における質問項目を検討する。また,介入評価を行う高等学校に協力を依頼し,2時間構成の授業モデルを実践する。事前調査および事後調査のデータ分析については,テキストマイニング分析等を用いて,規範意識の状況の変化等について量的および質的に検討する。また,実践された授業のプロセス評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として国内旅費について,予定額より下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
授業モデルの介入評価等に係る旅費およびデータ分析に係る経費として使用する予定である。
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