研究課題/領域番号 |
16K16575
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
齋藤 瞳 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (40551817)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メンタルヘルス / ストレス / IT / 心理特性 / 動機 / 自我状態 |
研究実績の概要 |
平成29年度には,平成28年度に策定した「動機づけを促しストレス耐性を高めるIT版メンタルヘルスプログラム」を,大学生を対象に施行し効果検証を行った.また,プログラムを施行した大学生を対象に半構造化面接を行い,プログラムの課題について検討を行った. その結果,プログラムにある一定の効果は認められたものの,モチベーションが低い対象者の場合,その効果には限界が認められた.本研究の目的の1つとして,動機づけが低い者であっても,メンタルヘルスへの関心を高め,心身の健康増進に取り組む動機を高めることが可能なプログラムを策定することがある.そのため,プログラムの策定に際し,性格およびモチベーションの程度別に,個々人に応じたメッセージが一定期間ごとに自動送信されるロジックを組み込む,ワークへの取り組みを促す等,工夫を行った.しかし,その効果が十分に得られなかった要因として,IT機器の利用方法に急速な変化が生じており,大学生の通信手段はメールからLINE等に変化し,メールをチェックしない者が増加していることが考えられ,対象者がメッセージ等を見ないという問題が生じた.そのため,平成30年度には,その対策としてメールではなくLINEに類似した気軽にアクセス可能な連絡機能等を追加し,対象者の動機を高められるよう,プログラムの改定をする必要が考えられた. また,Ecological Momentary Assessment(以下,EMA)等スマートフォンや携帯情報端末を利用した心身医学的介入に関しては,現在研究者が試験的に使用し,研究協力者への施行に際し,検討を重ねている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度,当初の計画通り「動機づけを促し」かつ「ストレスが高い人であっても負担なく取り組みやすい」プログラムを策定することが出来,その結果平成29年度は大学生を対象にそのプログラムを問題なく実施することが出来たといえる.また,プログラムの効果検証に関しても,プログラムが既にデータベース化されていることから,蓄積したデータの解析など確実に行うことが可能であったため,当初の計画通りおおむね順調に進展したといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,平成29年度得られた結果に基づき,より効果的に動機を高め得るプログラムへと改定を中心に行う.試験的に,プロトコルを組みながら検証を重ね,平成31年度までに動機がない人,またストレスが高い人であっても,心の健康に対する意識を高め,気軽に楽しみながらストレス軽減に取り組むことが出来るメンタルヘルスプログラムの策定を終える予定とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初研究打ち合わせのため旅費を必要経費として予定していたが,他の業務と合わせて日程を組み,研究の打ち合わせを行ったため旅費に未使用額が生じる等,一部の研究費を次年度に繰り越すこととなった. 平成29年度は策定したプログラムの実施を中心に行ったが,平成30年度はプログラムの改変を中心に行う.その際に,これまでのプログラムはメール中心の介入であったが,ITの利用方法の変化に伴い,LINE等の利用により利便性を高めることが必要と考えられた.そのため,主にプログラム改変に掛かる費用が主となる.また,改変のための国内外での研究打ち合わせ旅費や会議費は,引き続き必要経費と考える. さらに,研究における情報収集の一環としての書籍購入,記録媒体等の周辺機器,サーバー関連消耗品は不可欠である.また,研究を推進していくために継続して研究成果を発信することも重要と考えられ,それに伴う学会における発表旅費,外国論文校閲等の機関誌への掲載に関わる費用も必要となる.
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