研究実績の概要 |
一過性の食後運動は、食後の血糖上昇抑制に有効であり、実社会においても食後運動が推奨されている。しかし、1) 食後の20分間の有酸素運動は、運動終了直後に血糖の再上昇(食後の血糖リバウンド現象)を引き起こす、2)細切れ運動の繰り返しは、食後運動に比べ食後の血糖コントロールに有効である、ことを示唆する結果を報告した。そこで本研究では、1)食後運動におけるリバウンド現象の要因探索、2)食後運動と細切れ運動が食後の血糖コントロールに及ぼす影響、について血糖値を調整しているホルモン動態からそのメカニズムについて解明することを目的とした。 本研究の条件は、1) 食後運動, 2) 細切れ運動, 3) 運動なし, の3条件とし、9時間にわたりそれぞれ実験を行った。食後運動は毎食30分後に20分間、細切れ運動は30分おきに3分間のジョギングを繰り返し行った。両条件の総運動量は統一し、運動強度は乳酸閾値強度を用いた。実験中の血糖値は、持続血糖測定器を用いて連続的に測定した。血中ホルモン動態(インスリン)は、朝食後および昼食後120分まで測定した。 本研究における平均血糖値および食後血糖コントロールを表す指標に、3条件間で有意な差は認められなかった。食後運動条件では、これまでの結果と同様に食後血糖のリバウンド現象が見られた。細切れ運動時の血糖値は、平均値で比較すると有意な差は認められないものの、最も低値の血糖動態を示した。両運動条件の食後120分間の血中インスリン濃度は、運動なし条件に比べ有意に低値であった。 本研究の結論として、1) 食後運動によるインスリン濃度の減少がリバウンド現象の一要因であること、2) 血糖動態に関連する指標に差は認められなったが、運動条件ではインスリン非依存的に血糖値をコントロールしている、ことが示唆された。
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