本研究では他者との社会的関わりが疲労にどのような影響を及ぼすかについて研究を進めた。本研究によって、認知的な作業中に見知らぬ他者から視線を受けるときには、覚醒度が高まる反面、疲労感もより増大することが見出された。一方、認知的作業負荷後の疲労状態で親密な他者(交際中のパートナー)と過ごすことによる疲労感の減弱を認めたが、負荷前に親密な他者と過ごしても後の疲労感の増大を抑制する効果は認めなかった。これら結果からどのような人と過ごすか、いつ時間を共にするかで疲労へ及ぶ影響がことを明らかにし、日常生活で経験する他者との関わりであっても、疲労に作用することが初めて見出された。
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